定期預金はどんな人におすすめ?
選び方・活用タイミング・金利の見方を徹底解説
「投資が大事なのは分かるけれど、絶対に減らしたくない教育資金はどこに預けるのが正解なのかな……」
物価高や金利のある世界が到来するなか、お金の置き場所に悩んでいませんか?
定期預金は「ただお金を眠らせる場所」ではなく、「使う時期が決まっている大切なお金を守り抜くための選択」といえます。
しかし、メガバンクからネット銀行まで定期預金の金利には差があります。また、定期預金は満期前に解約すると金利が大きく下がる「中途解約のペナルティ」があるため、預入期間の選び方には注意が必要です。
本記事では、定期預金がおすすめな人の条件や、NISAなどほかの運用との賢い使い分け、失敗しない銀行選びのコツを徹底解説します。
【結論】定期預金が「おすすめな人」と「やめたほうがいい人」
ここでは、目的や資金の性質に合わせて、定期預金を活用すべきかどうかを判断するためのポイントを解説します。
定期預金がおすすめな人の3つの条件
定期預金は「数年以内に使う予定が確定している資金」を守りたい人に適しています。
その理由は、定期預金が元本保証であり、株式投資などのように相場の下落によってお金が減ってしまうリスクがないからです。
例えば、「進学の費用」「住宅購入の頭金」「車の買い替え費用」などが挙げられます。このように、ライフイベントで使う時期と金額が明確に確定している資金は、少しでも元本割れしてしまうと人生の計画そのものが崩れてしまいます。
投資信託などで運用して利益を狙うことも選択肢の一つですが、いざお金が必要になったタイミングで運悪く相場が暴落していれば、想定よりも資産が減ってしまったり、損失が出ていることで売却しにくくなったりするリスクもあるのです。
投資は絶対に利益を出せるとは言い切れない以上、確実に資金を守りたい人にとって定期預金はよい選択肢となります。
やめたほうがいい人・ほかの運用(NISAでの運用など)を検討すべき人
「10年以上使う予定がない余裕資金」を定期預金にすべて預けることはおすすめできません。
なぜなら、今後も断続的な物価上昇(インフレ)が続いた場合、お金の実質的な価値が目減りしてしまうリスクがあるためです。
定期預金に預けたままにしておけば、額面のお金そのものが減ることはありません。しかし、世の中のモノの値段が上がってしまえば、同じ金額で買えるモノの量は減ってしまいます。
近年は物価の上昇を肌で感じている人も多いと思います。実際に、総務省の消費者物価指数によると、2025年(1年間の平均)の物価は前年比で3.2%上昇しました。
参照:総務省統計局|「2020年基準 消費者物価指数 全国 2025年(令和7年)平均」
上昇率自体は2026年に入って落ち着きつつあるものの、物価が上がり続けている状況に変わりはありません。食料品やエネルギー価格の上昇、人手不足による賃上げの価格への転嫁などがその背景にあります。
こうしたなか、日本銀行は消費者物価の前年比上昇率2%を「物価安定の目標」として掲げています。
参照:日本銀行|「日本銀行の『物価の安定』についての考え方および『物価安定の目標』について教えてください。」
モノの値段が上がり続けるなかで、金利がそれに見合わない低水準のままであれば、銀行口座に入れている定期預金の金額は減っていなくても、実際に買えるモノは少なくなってしまうおそれがあります。
そのため、当面使う予定のない余裕資金については、NISA制度を活用した投資信託での資産運用を検討するのも選択肢の一つです。
知っておきたい定期預金のメリット・デメリット(基本のおさらい)
定期預金を賢く活用するためには、その特徴を正しく理解しておく必要があります。
ここでは、知っておくべきメリットとデメリットを詳しく見ていきましょう。
メリット①:元本保証と「預金保険制度」による保護
定期預金の最大のメリットは、預けたお金が減らないという安心感です。定期預金には元本割れのリスクがなく、さらに国の「預金保険制度」によって守られているからです。
例えば、万が一お金を預け入れている金融機関が破綻するような事態になっても、預金保険制度(ペイオフ)により、1金融機関につき預金者1人あたり元本1,000万円までとその利息が確実に保護されます。
この仕組みがあるおかげで、私たちは安心して大切なお金を銀行に預けることができます。
個別株のように、企業の業績が悪化して元本が割れる心配もありません。
定期預金で大きなリターンを受け取ることは難しいですが、将来に向けて減らしたくないお金を預ける場所としては優れているといえるでしょう。
メリット②:普通預金より高い金利で「使う目的のあるお金」を確実に隔離できる
もう一つのメリットは、普通預金よりも高い金利を受け取りつつ、お金を強制的に隔離できる点にあります。
定期預金は「原則として満期まで引き出せない」という制約があるからこそ、普通預金よりも有利な金利が設定されています。
例えば、日々の生活費を入れている口座に教育資金や住宅の頭金を残したままにしておくと、手元にある安心感から、つい生活費や娯楽費として使ってしまう危険性があります。
しかし、定期預金を利用して生活費口座と完全に切り離すことで、数年後に使う大切なお金を確実に確保することが可能です。
先取り貯蓄としての強制力が働くため、貯金が苦手な人にも適した仕組みといえるでしょう。定期預金は、手元にあると使ってしまうという人間の心理的な弱さをカバーしてくれるのです。
デメリット①:中途解約ペナルティ(中途解約利率)に注意
定期預金のデメリットとしては、途中で解約した場合にペナルティがあることが挙げられます。
満期を迎える前にお金を引き出してしまうと、当初約束されていた高い金利より低い「中途解約利率」が適用されてしまうからです。
例えば、5年ものの定期預金に預け入れたものの、3年目で急な出費があり解約せざるを得なくなったとします。
この場合、元本割れすることはありませんが、中途解約利率の適用により受け取れるはずだった利息が大幅に少なくなってしまいます。
そのため、使う時期を見据えて、無理のない預入期間を設定することが不可欠です。
デメリット②:インフレリスクによりお金の価値が目減りする可能性がある
インフレによるお金の目減りリスクも定期預金を利用するデメリットです。
低金利の定期預金に長期間お金を預けたままにすると、世の中のモノの値段が上がるスピードにお金の増えるスピードが追いつかないからです。
例えば、100万円を定期預金に預けて利息がほとんどつかない間に、インフレによって100万円で買えていた自動車が120万円に値上がりしてしまった場合を想像してみましょう。銀行に預けているお金の金額は変わっていなくても、実質的なお金の価値は下がってしまったことになります。
定期預金は「守るお金」としては適していますが、「長期で増やすお金」としては限界があるため、投資信託への投資などと併用することをおすすめします。
目的・資金・期間別!あなたに最適な預け方の判断フレームワーク
定期預金と一口にいっても、預ける方法や期間はさまざまです。ご自身の目的に合わせた最適な預け方を選ぶための基準を紹介します。
【目的・資金別】まとまった一括預入VS毎月の「積立定期預金」
資金の状況に応じて、ボーナスなどを一括で預け入れる方法と、毎月コツコツ積み立てる「積立定期預金」を使い分けましょう。
その理由は、現在の手元資金の有無や、貯金の習慣づけといった目的に応じて最適な方法が異なるからです。
例えば、手元にまとまった資金がある場合は、通常の定期預金に一括で預け入れることで、その金額全体に対して利息がつきます。
一方で、「普通預金にお金があるとつい使ってしまう」という悩みを抱えている人や、これから資金を作りたい人には「積立定期預金」が適しています。
積立定期預金は、毎月のお給料や家計から数千円~数万円ずつ天引きで自動的にためることができるため、無理なく着実に資産を形成していくことができます。貯蓄を成功させるための王道である「先取り貯蓄」を自動化できる点が最大の魅力です。
【期間別】1年未満・1年・3年・5年以上のどれを選ぶべき?
定期預金の預入期間を選ぶ際は、今後の金利上昇の可能性を考慮することが大切です。一般的な定期預金は預け入れる際にその後の金利が決まります。安易に5年などの長期固定で定期預金を組んでしまうと、世の中の金利が上がった際に、その恩恵を受けられない「機会損失」のリスクがあります。
例えば、日本銀行は2025年12月に政策金利を0.75%へ引き上げており、これは約30年ぶりの高い水準です。こうした利上げ局面では、数年後に定期預金の金利がさらに上昇する可能性があります。
参照:日本銀行|「金融市場調節方針の変更について」(2025年12月19日)
もし今、低い金利で長期間固定してしまうと、後から金利の高い商品が出たときに乗り換えるのが難しくなります。そのため、「1年もの」などの比較的短い期間で様子を見ながら、満期ごとに最新の金利状況を確認して運用していくのが賢明な戦略であるといえるでしょう。
「どこがおすすめ?」失敗しない金利の見方と選び方のコツ
定期預金を始める際、どの銀行を選ぶかによって受け取れる利息に大きな差が生まれます。ここでは、失敗しないための銀行の選び方と金利の見方を解説します。
ネット銀行とメガバンク・地方銀行の金利差と選び方
銀行を選ぶ際は、金利の高さだけでなく、普段の生活動線に合った利便性も考慮しましょう。
ネット銀行は店舗を持たず、人件費などのコストがかからないので、その分を金利に反映させることができ、実店舗を持つ銀行に比べると金利が高い傾向があります。
一方、メガバンクや地方銀行などの実店舗を持つ銀行にも独自の強みや優遇制度があります。
例えば、金利だけを見ればネット銀行が有利なケースが多いですが、地方銀行などでも、「給与振込口座への指定」などの条件を満たすことで、優遇金利が適用される場合があります。
さらに、全国各地に支店があるネットワークの強さや、窓口で直接相談できる安心感もメガバンクや地方銀行ならではのメリットです。
ご自身の生活圏でのATMの使いやすさや、給与受け取りなど普段の生活動線に合った銀行を選びましょう。
要注意!「キャンペーン金利」の落とし穴
銀行などの広告で目を引く「キャンペーン金利」には、適用される期間や条件に注意が必要です。一見高い金利に見えても、その金利が適用されるのは最初の数カ月間だけというケースが多いからです。
例えば、「初回限定、年利〇%」という魅力的な広告があったとします。しかし、これは最初の期間(数カ月程度)だけの優遇金利であり、満期を迎えて自動継続された後は、通常の金利に戻ってしまうケースがあります。
そのため、見かけの数字だけでなく、自動継続後の金利までチェックする重要性を忘れないでください。
長期間預ける予定であれば、キャンペーン金利よりも通常の金利水準が高い銀行を選んだほうが、最終的にお得になることもあります。
長期運用なら知っておきたい「単利」と「複利」の違い
定期預金で効率よくお金を増やすためには、「単利」と「複利」の違いを理解しておく必要があります。
同じ金利であっても、利息の計算方法によって最終的に受け取れる金額に差が出るからです。
例えば、「単利」は最初に預け入れた元本に対してのみ利息がつく仕組みです。一方、「複利」は利息が元本に組み込まれて雪だるま式に増える仕組みとなっています。
雪だるまを作るとき、芯となる雪玉(元本)に雪(利息)がくっつき、さらに多くの雪を巻き込みながら大きくなっていく様子をイメージしてください。
預入期間が長くなるほど複利の効果は大きくなるため、効率的にお金を増やせます。
定期預金VSほかの運用方法(普通預金・NISA・国債)との比較
資産形成には定期預金以外にもさまざまな選択肢があります。それぞれの特徴を比較し、目的やリスク許容度に応じた使い分けを理解しましょう。
定期預金と「普通預金」の違い
定期預金と普通預金の最大の違いは、お金を引き出せる自由度と金利の高さにあります。
いつでも自由に引き出せる普通預金に対して、定期預金は「原則として満期まで引き出せない」という制約があります。
例えば、普通預金は生活費や急な出費に備えるためのお金を置いておくのに適していますが、その分金利は一般的には定期預金より低く設定されています。
定期預金は、中途解約すると金利が下がるという制約があるからこそ、高い金利が設定されている仕組みとなっています。流動性(引き出しやすさ)と収益性(金利の高さ)のバランスをしっかり理解し、目的に合わせた使い分けが不可欠です。
なお、2026年に入り、日銀の利上げを受けて普通預金金利も0.3%程度まで引き上げられました。
ただし、それでも定期預金の金利には及ばないケースが多く、当面使う予定のないまとまった資金であれば、普通預金から定期預金に移すことで利息面のメリットを得やすくなります。
定期預金と「個人向け国債」の違い
同じ元本保証型の安全資産として、定期預金と比較されることが多いのが「個人向け国債」です。
個人向け国債は、国がお金を借りるために発行する債券であり、国が責任を持って元本と利息の支払いを行うため非常に安全性が高い商品です。
例えば、個人向け国債の「変動10年」は、実勢金利に応じて半年ごとに適用される金利が見直される仕組みになっています。そのため、世の中の金利が上がれば受け取れる利息も増えるというメリットがあります。
また、最低金利として年率0.05%が保証されているのも特徴です。定期預金は原則として預入時の金利が固定されますが、今後の金利上昇に期待するのであれば、個人向け国債も安全資産の有力な比較対象となります。
個人向け国債は1万円から購入でき、発行後1年が経過すれば中途換金も可能です。ただし、中途換金の際には直前2回分の利子相当額が差し引かれる点には注意が必要です。
元本保証という安心感は定期預金と共通していますが、金利の決まり方や換金のルールが異なるため、両者の違いを理解した上で選ぶことが大切です。
定期預金と「新NISAを活用した投資信託投資」の違い
最後に、定期預金とNISA(少額投資非課税制度)を活用した投資信託の違いを明確にしておきましょう。
結論からいうと、資産を明確に線引きする考え方として、定期預金は「守るお金」、投資信託は「増やすお金」と分けることが重要です。
例えば、投資信託などの運用商品は、預貯金よりも高いリターンを期待できる一方で、元本割れのおそれがあります。
参照:金融庁|資産形成の基本
NISAは、投資で得た利益にかかる税金(通常20.315%)が非課税になる制度です。長期・積立・分散を意識して運用すれば、短期的な価格変動のリスクを抑えながら、インフレに負けにくい資産形成を目指せます。
ただしNISAで運用する投資信託などは元本保証ではないため、当面使う予定のあるお金まで投資に回さないことが、失敗を避けるための大前提となります。
数年後に必要になる教育資金や住宅の頭金は、減ってしまっては困るため、定期預金などの安全資産で確実に守る必要があります。
一方で、10年以上先の老後資金など、当面使う予定のない余裕資金については、定期預金のままではインフレリスクに弱いため、投資信託などで運用して増やす工夫が求められます。
このように、お金の性質ごとに色分けをすることが資産形成の基本となります。
まとめ
定期預金は、ただお金を眠らせる場所ではなく、数年後に使う時期が決まっている大切な資金を確実に「守る」ための選択肢です。
インフレリスクや中途解約ペナルティといったデメリットも正しく理解した上で、NISAを利用した投資信託投資などの「増やす投資」と賢く使い分けたり、併用したりすることが資産形成の成功のカギとなります。
新卒で総合職として三菱UFJ銀行に入行し、法人融資・金融商品販売などを担当。
商社へ転職後に結婚、出産を機に退職し、ライターとして独立。
現在は、2級FP技能士の資格や知識を活かして、金融系メディアを中心に執筆している。




