iyomemo(いよめも)
見つかる、つながる。伊予銀行のWebメディア

四国に熊はいる?
熊がいないと言われる理由や観光する上で注意すべきことを解説

2026/10/14
(提供元:トビバコ)
クマ

全国各地で起きる熊による被害をニュースで見て「熊のいない地域へ安心して旅行したい」と考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。

四国は九州や沖縄などと共に「熊がいない地域」として挙がる代表的なエリアの一つです。

この記事では、四国における熊の生息数や生息地域、四国に熊が少ない理由などについてくわしく解説いたします。

四国に熊はいるが、生息数が少なく生息地域も限られる

クマ出没注意

四国にも野生の熊は生息しています。

しかし、生息が確認されている地域は徳島県と高知県にまたがる剣山系周辺の山林に限られており、頭数も約25頭程度と少なくなっています。

四国に生息する熊の種類

四国に生息している熊の種類はニホンツキノワグマです。

全身が黒い毛で覆われ、胸に白い三日月形の模様が見られるのが特徴であり名前の由来です。(※中には模様が小さい個体やほとんど見えない個体もいます)

世界的に見ても、島に熊が生息すること自体が珍しく、四国はツキノワグマが生息する世界で最も小さな島として知られています。

そのため、四国に生息するツキノワグマは「ISLAND BEAR(島熊)」と呼ばれています。

四国における熊の生息数

林野庁四国森林管理局、環境省中国四国地方環境事務所及び認定NPO法人四国自然史科学研究センターにより2014年から行われているツキノワグマの生息状況調査結果によれば、四国のツキノワグマの生息数(※調査箇所や箇所数等の条件が異なるため、実際の生息数の推移を示すものではありません)は次表の通りです。

年度 最低識別頭数(頭)
2020年 20
2021年 18
2022年 15
2023年 11
2024年 26
2025年 25

出典:四国森林管理局『四国山地におけるツキノワグマ生息調査の結果について ~「はしっこプロジェクト2025」~』

四国で毎年行われている生息数調査で確認されているのは約25頭程度(※2025年調査)で、他のエリアの熊の生息数と比べて四国は非常に少ないということがわかります。

エリア 推定個体数(頭)
(各都道府県の最新の推定中央値の合計※1)
北海道 約1万1,600
東北 約1万9,237
関東 約2,983
中部 約1万7,553
近畿・中国 約6,420
四国 約25
九州・沖縄 0

※1:四国エリアのデータは、四国森林管理局『四国山地におけるツキノワグマ生息調査の結果について ~「はしっこプロジェクト2025」~』に基づく

出典:内閣官房HP『クマ被害対策ロードマップ』

四国における熊の生息地域

四国のツキノワグマは、主に徳島県と高知県にまたがる剣山山系と、その周辺の限られた地域にのみ生息しています。

四国に熊が少ない理由

山

四国に熊が少ないのは、森林の減少、人間による捕獲、そして四国が海に囲まれていることが大きく関係しています。

1つの理由だけで熊が減ったのではありません。次のようなさまざまな理由によって個体数が少なくなっていったと考えられます。

森林開発による自然林の減少

ツキノワグマは、主に木の実や果実、新芽などを食べます。

そのため、ブナやミズナラ、コナラなどが生えている自然の森林は、熊にとって大切な場所です。

四国には森林がたくさんありますが、スギやヒノキなどの人工林も多く、「森林が多い=熊にとって暮らしやすい」というわけではありません。

さらに、道路を作ったり森林を伐採したりすると、森が分断されます。

すると熊が餌を探して移動しにくくなり、熊同士が出会う機会も減ってしまいます。

このように森林開発により自然の森林が減少したことで、熊が住みにくく、また熊が繁殖しにくくなっていったのです。

狩猟や害獣駆除による減少

熊は、昔から狩猟の対象になったり、人里に出てきたときに害獣として捕獲されたりしてきました。

もともと熊の数が少ない四国では、数頭が捕獲されるだけでも大きな影響があります。

森林が減って暮らしにくくなったことに加えて、捕獲も続いたことで、熊の生息範囲や個体数が少しずつ減っていったと考えられています。

四国ならではの個体数の回復しにくさ

四国に生息する熊が少なくなっても、本州から熊が海を渡ってやって来ることはできません。

そのため、四国では現在いる少ない熊だけで繁殖して、個体数を維持する必要があります。

熊の数が少ないと、それだけ繁殖相手を見つけることも難しくなります。

さらに、病気や事故などで数頭が失われるだけでも、全体の数が大きく減ってしまう可能性があります。

こういった四国という島ならではの環境条件により他の地域と比べて減ってしまった個体数が回復しにくいということも、熊が減少している要因の一つと考えられています。

四国に「熊がいない」と言われるのはなぜ?

クマ

四国に「熊がいない」と言われるのは、熊の数がとても少なく、住んでいる場所も限られているからです。

四国では、熊は主に徳島県と高知県にまたがる剣山山系の周辺に生息しています。四国全体に広くいるわけではありません。

また、街中や住宅地で熊を見かけることもほとんどありません。

そのため、四国に住んでいる人や観光客にとって、熊はあまり身近な動物ではなく、「四国には熊がいない」というイメージが広まったと考えられます。

しかし、四国に熊がまったくいないわけではありません。剣山周辺の山では、熊の姿や足跡などが確認されることがあります。

つまり、「四国に熊がいない」のではなく、「熊の数が少なく、生息している地域が限られているため、普段は熊を見かけることがほとんどない」ということです。

四国で熊に注意すべき場所は限られている

山

四国では、どこでも熊を心配する必要があるわけではありません。

特に注意が必要なのは、徳島県と高知県にまたがる剣山山系と、その周辺の山や林道です。

一方で、高松市・松山市・高知市・徳島市などの市街地や、道後温泉など一般的な観光地では、熊との遭遇を過度に心配する必要はありません。

環境省『クマ出没情報(速報値)』でも、四国エリアは全国的にも熊の出没件数が少なくなっていることがわかります。

エリア 令和4年度 令和5年度 令和6年度 令和7年度 令和8年度※2
北海道 非公表 非公表 非公表 非公表 非公表
東北 4,513 13,584 6,723 35,395 7,648
関東 811 1,195 1,344 2,179 633
中部 2,561 5,511 5,166 8,932 2,155
近畿・中国 3,251 4,055 7,269 4,288 2,191
四国 - 3 11 7 1
九州・沖縄 - - - - -

※2:令和8年度は2026年(令和8年)4月・5月・6月の合計値です。

出典:環境省『クマの出没情報(速報値)』をエリア別に集計

また、環境省『クマ類による人身被害について(速報値)』によれば、四国内の熊による人身被害は平成20年から令和7年まで一度も起きていません。

エリア 令和4年度 令和5年度 令和6年度 令和7年度 令和8年度※3
北海道 3 6 3 5 2
東北 44 141 34 146 31
関東 5 5 7 15 5
中部 14 41 28 41 7
近畿・中国 5 5 10 9 4
四国 0 0 0 0 0
九州・沖縄 - - - - -

※3:令和8年度は2026年(令和8年)4月・5月・6月の合計値です。令和3年度以前はここでは割愛しております。

出典:環境省『クマによる人身被害件数(速報値)』をエリア別に集計

ただし、熊が全くいないわけではなく、生息している地域が限られているだけです。

そのため、「四国だから大丈夫」と考えるのではなく、実際に行く場所が熊の生息地域に近いかどうかを確認し、適切な対策をしておくことが大切です。

剣山・次郎笈周辺

剣山と次郎笈の周辺は、四国で熊が生息している地域の中心の一つです。

登山者が多い人気の場所ですが、熊が出る可能性があることを忘れないようにしましょう。

2023年7月には剣山から次郎笈へ向かう登山道で、2024年8月には剣山から下山中の登山者によって熊が目撃されています。

登山するときは、必ず次のような対策をしていきましょう。

  • 出発前に最新の目撃情報を確認する
  • 熊鈴やラジオなど、音の出るものを持つ
  • できるだけ複数人で行動する
  • 早朝や夕方に一人で行動しない
  • 食べ物やごみを山に残さない

「人気の登山コースだから安全」とは限りません。

三嶺・奥祖谷周辺

三嶺や奥祖谷も、熊が生息している山深い地域です。

三嶺周辺では、熊によるものと考えられる木の皮をはいだ跡が多く確認されています。

2025年7月には、三好市東祖谷の塔ノ丸国有林で熊の足跡も見つかっています。

山で、次のような跡を見つけたら、熊が近くにいる可能性があります。

  • 足跡
  • ふん
  • 爪痕
  • 木の皮をはいだ跡
  • 熊が食べたと思われる跡

その場合は、近づいたり写真を撮ろうとしたりせず、静かに来た道を引き返しましょう。

剣山スーパー林道と周辺の山林

剣山スーパー林道とその周辺でも、熊の目撃情報や、木の皮をはいだ跡などが確認されています。

2024年には上勝町や美馬市木屋平の林道で複数の目撃情報があり、2026年にも上勝町で熊によるものとみられる木の皮剥ぎが確認されています。

車やバイクで走っているときに熊を見つけても、車から降りて近づいたり、撮影するために追いかけたりしてはいけません。

車を降りて登山や散策、キャンプなどをする場合は、次のような対策を心がけましょう。

  • 熊鈴を持つ
  • できるだけ複数人で行動する
  • 食べ物や生ごみを外に放置しない

高知県香美市物部の山間部

高知県香美市物部など、剣山山系の南側にある山間部でも熊が確認されています。

2025年6月には、香美市物部の国有林で熊によるものとみられる木の皮剥ぎが見つかり、その翌日にはセンサーカメラにもツキノワグマが写っています。

物部から三嶺や石立山などへ向かう場合は、出発前に最新の熊情報を確認しましょう。

また、熊鈴を持ち、できるだけ複数人で行動することをおすすめします。

熊は昼間にも活動しますが、早朝や夕方は特に活動が活発になりやすい時間帯です。

薄暗い時間帯や、周囲が見えにくい林の中、沢の近くでは特に注意しましょう。

四国に熊はいるが過度に心配する必要はない

山・草原

四国には熊が全くいない訳ではありませんが、生息数が少なく生息地域が限られています。人身被害も過去十数年で0件です。

そのため、四国観光をする際に「熊と遭遇する可能性のある地域」は限られており、市街地を観光する際に「熊が出たらどうしよう」と過度な心配をする必要はありません。

一方で、剣山や三峯、奥祖谷などの山間部に入る場合は、熊鈴の携帯や複数人での行動など、基本的な対策を行うようにしましょう。



著者プロフィール

著者 相川 賢太郎

ライター

書籍・メディアの取材・執筆・編集の業務経験を経て、2015年にフリーライターとして独立。これまで30以上のジャンル、計5,000記事以上の企画・執筆・編集を手掛ける。現在はコンテンツマーケティングの会社経営の傍、「取材・調査は足で」を信条に、読者に信頼される情報の提供を目指すライターとしても活動。豊富な記事執筆経験を活かし、読者にとって役立つ情報を分かりやすく提供。

RECOMMENDATION

RANKING

TAG LIST

    • Digital-Human-Digital
    • 地元愛
    • LIFE PALETTE
    • IYOCA