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マネー 食卓にうれしいはなし

肉や魚、チーズが安くなる?

2019/09/26

TPP(環太平洋パートナーシップ)やEPA(経済連携協定)によって海外から輸入される食料品が安くなるというニュースが一時期よく流れ、「家計が助かるのでは?」と期待していた人も多いだろう。実際、2018年12月30日にTPP11が、2019年2月1日には日欧EPAが発効された。たしかに、ヨーロッパからのワインが安くなったと喜ぶ人もいれば、思ったより肉や魚の値段は変わっていないと感じる人もいるのではないだろうか。今回は、これらの協定が今後日本の食卓にどういう影響を及ぼすのかを紹介する。

■TPPやEPAとは?どの国が参加しているの?

世界の貿易のルールを決めるのはWTO(世界貿易機関)だが、参加国の全会一致が原則のこの組織ではなかなかルールが構築できず、次第に2ヵ国間での交渉が主流となった。そのうち、関税の撤廃・削減を定めるのがFTA(自由貿易協定)、関税だけでなく知的財産の保護や投資のルールなども含めた包括的なものがEPAである。2019年2月1日には、日本とEUの間で合意に至った日欧EPAが発効された。

経済圏を広げようとした場合、2ヵ国間だけで交渉を続けるのは非効率なので、次第に地域でまとまって交渉する動きが出てきた。その1つがTPP(環太平洋パートナーシップ協定)である。TPPに参加している国は、日本のほか、アメリカ、オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポールおよびベトナムの計11ヵ国だ。

■食料品が安くなる2つのパターン

食料品によって、すぐに値段の違いが実感できるものもあれば、そうでないものもある。これはEPAやTPPのそれぞれの食料品に対する関税のかかり方の違いが原因だ。大きく分けると、関税が即時に撤廃・削減されるものと、段階的にされるものがある。まず、日欧EPAから見ていくと関税が即時撤廃されたものの代表が、前述したワインである。

これまで15%かかっていた関税が日欧EPA発効後0%になった。段階的に関税が安くなるものには、豚肉や牛肉、チーズ、チョコレートなどがある。しかし、豚肉(ハムやベーコン等の差額関税のもの)では高価格の品にかかっていた4.3%の関税が10年かけて撤廃され、モッツァレラやカマンベールなどのナチュラルチーズは16年目に関税がゼロになる予定だ。

次にTPPに目を向けると、ぶどうなどの果物の一部と、えびやひらめ、冷凍べにざけなどの魚介類の関税はTPPが発効された2018年12月30日に即時撤廃されている。日本で輸入の多いオーストラリア産牛肉もTPPの枠内で関税が決められるが、38.5%だった関税がTPP発効時に27.5%に、その後も段階的に引き下げられ、16年目には9%になる。

このように、牛肉や豚肉、チーズなどはこれから何年もかけて関税が撤廃・削減されていくので、その恩恵を実感するには少し時間がかかるかもしれない。

■国内農家には競争激化などの試練も

海外から食料品が安く輸入されることで、家計が助かる人もいる一方、国内の農家にとっては大きな打撃となる。

輸入される安価な食料品に対して、国内の農家は①生産コストを削減して安さに対抗する、②同じ種類の食料品の品質を高めブランド化を図る、③独自の食料品を生産し差別化を図る、など一層の競争力の強化が求められるが、特に高齢化が進んでいる地域や小規模な農家では、こういった対策を取るのは決して容易ではないだろう。

ただし、輸入される食料品に対して、政府は今のところ安全性が損なわれることはないと説明しているが、実際には疑問を持つ消費者も多いのではないだろうか。今後、国産の食材の価値が今以上に向上していくことは十分に考えられることである。

■貿易協定による恩恵を食卓にうまく生かそう

TPPやEPAによって食料品にかかる関税が撤廃されたり削減されたりするのは、家庭にとってはうれしいことである。一方、国内農家は一層の国際的な競争力が求められ、大きな転換期を迎えていると言える。消費者は今後ますます選択肢が増えていく中で、日本産のものと輸入された食料品をうまく活用し、食卓を充実させていきたい。

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