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特集みんなが好きに生きると

社会は良くなるってどういうこと?

2020/02/13

「世の中を良くするために、みんな利己的に行動しよう」と言われるとどう思うだろうか。みんなが自分のことだけ考えていてはとても社会は成り立たないと思うのではないだろうか。しかし、市場において自分の利益を優先させる行動は経済の秩序を構築することにつながっている。今回はこの、経済活動が各個人の利己的な行動が社会全体の利益をもたらすことを指す「見えざる手」について紹介する。

■利己的な行動で社会が良くなっていく?

買い物をするとき、少しでも安いものを探して何軒もスーパーを回ったり、性能のいい商品をインターネットで比較したりすることは、経験がある人も多いのではないだろうか。また株式を持っている人なら、できるだけ値段が高いときに売りたいと考えるのが一般的だ。このように私たちが日常的に行う売り買いは、ほとんどが自分の利益を追求しているはずである。

18世紀の哲学者アダム・スミスは、有名な著書『国富論』の中で「個人が自分の利益を追求する行動が、自分たちがまったく意図しないうちに、他の人にも利益をもたらすことがある」と述べている。例えば世の中の人が、「同じ値段なら少しでも性能が良い製品」「性能が同じなら少しでも安い製品」を買うとすると企業は売り上げを伸ばすために、良い製品を開発したりコストを下げたりと工夫をするだろう。

結果として、それらの製品を使う人の生活は便利になるし、安く手に入るようにもなるのだ。もちろんすべてがこのような好循環になるわけではない。しかしそれぞれが自分の利益を得ようとすることは、世の中を良くするための原動力の一つになっていることもある。

■すべてが自由になっても成り立たない

自分の利益のことだけを考えてとった行動は、知らないうちに他の人の利益にもなり得るが、もちろんそこにはルールが必要である。アダム・スミスは国が役割を担うルールを3つ説明している。

1つは「国防」である。現在は多くの会社で国際競争力が求められるが、理不尽に国内の市場が荒らされないように守る必要がある。2つ目は「司法」だ。利己的に行動するということは悪いことをしていいということではない。3つ目は「公共事業」。皆が使う道路や水道などは、利益が出る人口の多い地域だけでなく、公平になるよう国が作るべきものである。

■課税と補助金が有効な理由

それぞれが自分たちの利益を追い求める社会では、さらに良い意味で方向づけがなされれば、全体に大きな利益が生まれることになる。例えば、政府が「太陽光発電を普及させたい」と考えたとき、どうするのが一番効果的か考えてみて欲しい。太陽光発電が安全であることを学校で教えたり、CMでアピールしたりすると自然に普及するかもしれない。しかし最も効果があるのは太陽光発電の設置に補助金を出すことだろう。「環境に優しい」や「発電所の周りの人が安全」というスローガンより、人は補助金という個人の利益にプラスになるものにより動機付けされる。

現在ちょっとしたブームになっている「ふるさと納税」を利用している人にとっても、「ふるさとの税収を増やしたいというよりは、返礼品が魅力的だから」という理由の人のほうが多いのではないだろうか。逆に何かを抑制するには、税金を増やすなどして、それを買う人や利用する人に不利益が出るようにするのが一番わかりやすい。

例えばガソリンの利用を抑えたいならガソリンに対して課税して値段を上げるなどだ。もちろんこうした政策がいつもうまくいくとは限らないが、国や自治体、企業の方向性と個人それぞれの利益を結びつけることは、社会の方向づけとしてはとても効果が高いだろう。

■お得な情報は調べないとわからないことも多い

ルールを外れない範囲で自分の利益を追求すると、意図しなくても他の人にも利益が出ることがあり、より良い社会を作る一つの要因になることがある。また補助金や課税はこうした社会の方向づけに効果的なのである。しかしこのような制度は、自分で調べなくてはわからないことも多い。自分が上手に利益を得るためにも、「お得な制度を調べる」「補助金や税金に関心を持つ」など、普段からアンテナを張っておくことも対策の一つといえるだろう。

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