Project

記事のサムネイル画像

Project1

地域創生、大洲市での取り組み​​

城下町として栄えた愛媛県大洲市には、歴史的な町並みが残っています。しかしその多くが老朽化し、景観の維持が課題となっていました。そこで、大洲の歴史的資源を活用した観光まちづくりがスタート。行政・金融機関・民間事業者が連携して古民家を再生、ホテルなどの施設に整備し、城下町の活性化を図りました。​
こうした一連の活動は、国際的にも高い評価を受け、「令和5年度 地方創生に資する金融機関等の『特徴的な取組事例』」として大臣表彰も受賞しています。​

MEMBER

地域創生部課長代理

髙松

一般社団法人キタ・マネジメント総務課長兼CFO

中島

目指せ「住んでよし、訪れてよし」のまちづくり​

2018年、産官金連携により「愛媛県大洲市の町家・古民家等の歴史的資源を活用した観光まちづくりにおける連携協定」が締結。事業の中核となる一般社団法人キタ・マネジメントが設立されました。同社に出向してプロジェクトを推進したスタッフと、現在出向中のスタッフが、大洲への強い思いや未来に向けたビジョンを語ります。

髙松

髙松

私は2018年8月に、異動で大洲支店に着任しました。ちょうどキタ・マネジメントが設立され、総額12億円の古民家再生プロジェクトが5年かけて行われるというタイミングで、そのうちの6億円の融資に支店の担当者として携わったのが、最初の関わりです。基本的に古民家に担保価値はありませんから、あくまで事業性評価に対する融資となります。担当者として苦労はありましたが、貴重な経験でした。

中島

中島

私は2022年4月に、大洲支店の融資係に着任し、すでに出向していた髙松さんと連携することが多くありましたが、2024年8月に髙松さんの後任としてキタ・マネジメントに出向する機会をいただきました。現在は、少しでも髙松さんの背中に追いつけるように日々奮闘しています。

髙松

髙松

このプロジェクトには多くのステークホルダーがいるので、いろんな関係者とコミュニケーションを取る必要があり、ファシリテーターとしてのスキルも求められますが、その能力の高い中島くんが来てくれたことで、安心して任せることができています。

中島

中島

髙松さんが出向していたときは、まさにプロジェクトの中心に据えられた古民家ホテルの改修が動いている状況で、それを円滑に進めるのが大きなテーマだったと思います。私が来たときは、改修は終わっている状況だったので、これから大洲をより発展させていくためにはどうすればいいかを考える仕組みづくりがミッションでした。

髙松

髙松

ホテルだけではまちは機能しないため、飲食店や物販店に入ってもらわなければなりません。そのテナントリーシング(誘致)も同時並行で進めていました。忘れられないのは、空き家だった古民家のホテルへのリノベーションが完成し、暗かった夜の大洲にホテルの灯がやわらかにともったあの瞬間です。それを見て地元の方たちが「こんないいまちづくりをしていたのね」と言ってくださいました。そういう住民のみなさんの意識の変化を常に感じながら仕事をしていた気がします。

大洲での経験がアドバンテージに​

中島

中島

髙松さんとは今も毎日のように連絡を取り合っています。実務的なことはもちろんですが、こんなセミナーがあるよ、参加してみない? といった情報交換が多いですね。また、進出した事業者のみなさんとの交流の場も設けています。キタ・マネジメントが月に1回開催している「大洲まちづくり大学」で、大洲をもっとよくしていくためにいろんなことを話し合います。

髙松

髙松

通常の観光地だと、ホテルはホテル、ショップはショップ、役所は役所、金融機関は金融機関、といった感じだと思うんです。しかし大洲ではまちづくり大学のように、産官金がコミュニケーションを取る機会を定期的に設けていることもあり、関係者の意識は高いですね。

中島

中島

最近、私は現実と理想のギャップというようなことも少し感じています。観光業は平日中日の集客が弱いのですが、今はバスツアーが増えて火・水・木曜日でも観光客の方が多く、活気づいています。それはとてもよいことなのですが、ツアーだとどうしても滞在時間が限られてしまいます。もったいないな、とジレンマを覚えます。

髙松

髙松

大洲が一つの大きな成功事例になったことは間違いありません。過疎化や人口減少といった課題は、愛媛県内の市町どこにでもあるでしょう。伊予銀行が地方銀行として各地における地域経済の活性化に寄与する際、大洲での経験はアドバンテージになります。大切なのは、地域住民のみなさんや若い世代も巻き込みながら、一過性のイベントではなく長期的な視点で持続可能なまちづくりを推進していくことです。それが今私のいる地域創生部の役割だと認識して、日々業務に当たっています。

さあ、本物の地域創生をしよう​

髙松

髙松

大洲でのプロジェクトは、2023年に世界の持続可能な観光地の取り組みを表彰する「グリーン・ディスティネーションズ・ストーリー・アワードITBベルリン」で、「文化・伝統保全」部門にて国内初の世界1位に輝きました。大洲城、肱川、城下町が三位一体となって生み出すランドスケープは、大洲ならではの魅力です。この風景に魅せられて、スペインや台湾から移住した方もおられます。

中島

中島

大洲の魅力は一言では語り尽くせませんが、ホテルのコンセプトにもあるように「時間を忘れる」という言葉がこれほど似合うまちはないと思います。普段忙しい毎日を過ごしている人にこそ、大洲のよさはじんわり効くのではないでしょうか。

髙松

髙松

キーワードとしては「住んでよし、訪れてよし」のまちづくりです。地域貢献に興味のある就活生のみなさん、ぜひ私たちと一緒に地域の未来を担っていきましょう。

中島

中島

全国から視察に来られる方たちがよくおっしゃるのは、行政と地元事業者が「こういうまちづくりがしたい」と思っても、どうしても費用の大きさがネックになる、担保も保証人もないため金融機関で「NO」が出てしまう、ということです。その点、伊予銀行はほかの地方銀行にはできないところまで踏み込んで、まちづくりに関わることができています。これは大きな強みです。伊予銀行なら本物の地域創生に携わることができるかもしれない、ということを多くのみなさんに知ってほしいと思います。