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利上げするとどうなる?
生活への影響やそもそもの目的などを解説

2025/08/07
(提供元:Mattrz
利上げするとどうなる?生活への影響やそもそもの目的などを解説

最近、「日銀が利上げを検討している」といったニュースを目にすることが増えています。しかし、利上げが私たちの生活にどのような影響を及ぼすのか、いまいちピンとこない方も多いのではないでしょうか。この記事では、利上げの目的や住宅ローン、物価、企業活動、投資などに与える影響について、わかりやすく解説します。

そもそも利上げの目的と仕組みとは

そもそも利上げの目的と仕組みとは

まずは、利上げとは何を意味し、どのような目的で行われるのかを整理しておきましょう。

利上げとは何か?その基本を理解しよう

利上げとは中央銀行が行う金融政策の一つで、政策金利を上昇させることを指します。政策金利とは、金融政策の目的を達成するために設定される金利です。例えば、日本では日本銀行(日銀)が、アメリカではFRB(連邦準備制度理事会)が政策金利を調整します。
利上げが実施されると市場全体の金利が上がり、住宅ローン金利や企業融資の金利も高くなります。つまり、個人や企業がお金を借りにくくなるという影響があるのです。
利上げは、過熱する景気やインフレを抑える目的で行われます。対して、景気が冷え込んでいるときには、中央銀行は政策金利を下げる利下げを行います。利下げは経済活動を刺激するために行われます。

中央銀行が利上げをする理由

中央銀行が利上げを実施する主な理由は、過度なインフレを抑制することです。経済が過熱し、物価上昇率が目標水準を大幅に上回る場合、金利を引き上げることで経済活動を適度に冷却しようとします。
高い金利は借入コストを上昇させるため、企業の設備投資や個人の消費活動を抑制する効果があります。その結果、需要が減少し、物価上昇圧力が和らぐというメカニズムです。また、高い金利は通貨の価値を高める傾向があるため、輸入品の価格下落を通じてもインフレ抑制に寄与します。

利上げの判断をするとどうなる?

中央銀行が利上げを決定すると、その影響は段階的に経済全体に広がっていきます。
まず、金融市場では即座に反応が現れ、債券価格の下落や株式市場の変動が一般的に見られます。短期的には、借入金利の上昇により企業の資金調達コストが増加し、個人の住宅ローンや消費者ローンの負担も重くなります。預金者にとっては、預金金利の上昇が期待できます。
中長期的には、利上げによる需要抑制効果により物価が安定し、経済全体の健全性が維持されます。ただし、利上げのタイミングや幅が適切でない場合、経済成長を鈍化させるリスクもあるため、中央銀行は慎重な判断を求められます。

利上げすると住宅ローンや家計はどうなる?身近なお金への影響

利上げすると住宅ローンや家計はどうなる?身近なお金への影響

利上げが実際に私たちの生活にどう影響を与えるのでしょうか。住宅ローン、預金、物価を例に、利上げするとどうなるかを考えてみます。

住宅ローン金利の動向

利上げが実施されると、住宅ローン金利への影響は避けられません。変動金利型の住宅ローンを利用している場合、政策金利の上昇に伴い、返済負担が増加する可能性があります。
変動金利は通常、政策金利の変動を反映して半年ごとに見直されます。例えば、借入額3000万円、返済期間35年、元利均等返済方式の住宅ローンの場合、金利が1%上昇すると月々の返済額が約1万5000円増加する計算になります。
一方、固定金利型の住宅ローンについては、契約時の金利が維持されるため、直接的な影響はありません。新規で固定金利のローンを借りる場合には、市場金利の上昇を反映して金利水準が引き上げられる可能性があります。

預金金利の変動

政策金利の上昇に伴い、銀行の預金金利も段階的に引き上げられる傾向があります。普通預金の金利上昇は比較的緩やかですが、定期預金や貯蓄預金については、比較的はっきりとした金利上昇が見込まれます。
ただし、預金金利の上昇幅は必ずしも政策金利の上昇幅と同じではありません。銀行の経営戦略や競争環境によって差が生じます。

物価への影響

利上げの最も重要な目的の一つが、物価の安定化です。金利上昇により借入コストが増加すると、企業の投資活動や個人の消費活動が抑制され、需要の減少を通じて物価上昇圧力が和らぎます。特に、住宅や自動車などの高額商品については、ローン金利の上昇により需要が減少しやすく、価格の安定化が期待されます。
為替相場を通じた影響も重要です。利上げにより通貨価値(為替レート)が上昇すると、輸入品の価格が下落し、エネルギーや食料品など生活必需品の価格安定につながります。
ただし、利上げの物価抑制効果が現れるまでには一定の時間がかかるため、即座に物価下落が実現するわけではありません。むしろ短期的には、企業のコスト増加が価格転嫁されることで、逆に物価が上昇するケースもあります。

利上げすると企業や投資はどうなる?経済全体への影響

利上げすると企業や投資はどうなる?経済全体への影響

利上げによって企業活動や投資、為替市場にどのような影響を与えるのか、経済全体の視点から見ていきましょう。

企業活動への影響

利上げが実施されると借入金利が上がり、企業の資金調達コストが増加します。設備投資や新規事業への意欲が下がることがあり、結果的に雇用や賃金にも影響が出てきます。特に中小企業は影響を受けやすく、利上げの際には慎重な財務管理が求められます。

株式市場への影響

利上げが発表されると、株式市場は敏感に反応します。金利が上がると企業の収益が減少するリスクが高まり、投資家が株式から資金を引き上げる傾向にあるからです。
利上げにより株価は下落しやすくなり、特に成長株の評価は厳しくなる傾向があります。ただし、利上げが経済の回復基調を背景としている場合は、市場全体が必ずしも悲観的になるとは限りません。
例えば、金利の上昇によって銀行株など一部のセクターは恩恵を受けます。金融機関は利ざや(貸出金利と預金金利の差)で収益を得るため、金利が高くなる局面では業績が改善する可能性があるからです。

為替市場への影響

利上げにより円の金利が上昇すると、相対的に有利な資産とみなされ、海外からの資金流入が増え、円高が進む可能性があります。円高になると輸入品が安くなり、物価の安定化が期待できるでしょう。一方で、円高は輸出企業の収益を圧迫する要因となる可能性があります。
利上げは他国との金利差を調整するうえでも注目されます。例えば、アメリカが先に利上げを行って日本が据え置いた場合、金利差が広がり円安要因となります。逆に日本が利上げに転じれば、円高方向に進みます。

まとめ

利上げは、中央銀行が景気や物価のバランスを取るために行う重要な金融政策です。利上げが実施されると、住宅ローン金利や企業活動、為替市場など幅広い分野に影響し、私たちの生活にも大きくかかわってきます。今後の家計運営や資産形成のために、日銀が利上げするとどうなるかを理解しておきましょう。



著者プロフィール

著者 森本 由紀

AFP(日本FP協会認定)、行政書士、夫婦カウンセラー

大学卒業後、複数の法律事務所に勤務。30代で結婚、出産した後、5年間の専業主婦経験を経て仕事復帰。現在はAFP、行政書士、夫婦カウンセラーとして活動中。夫婦問題に悩む幅広い世代の男女にカウンセリングを行っており、離婚を考える人には手続きのサポート、生活設計や子育てについてのアドバイス、自分らしい生き方を見つけるコーチングを行っている。

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