【2024年】円安はいつまで?
今後の見通しとその理由を解説
テレビやネットのニュースなどで、円安に関する報道を目にすることが多くなりました。 いつまで円安が続くのか気になっている人も多いのではないでしょうか。本記事では、円安になる原因や為替相場の今後の見通し、2024年の資産運用などについて解説します。対策したい人は、ぜひ参考にしてみてください。
為替相場の推移と円安になる原因
為替相場(為替レート)とは、為替市場での円と外国通貨との交換比率です。ここでは、日銀が公表しているデータを参考に、この10年間の円・ドル相場推移と円安になる原因・理由について解説します。
ドル/円相場の年次推移
年 | 平均レート(中心相場)ドル/円 | 高値 | 安値 |
---|---|---|---|
2023 | 140.59円 | 151.74円 | 127.99円 |
2022 | 131.57円 | 150.48円 | 113.76円 |
2021 | 109.89円 | 115.39円 | 102.75円 |
2020 | 106.73円 | 111.74円 | 102.24円 |
2019 | 108.99円 | 112.24円 | 105.20円 |
2018 | 110.40円 | 114.30円 | 105.02円 |
2017 | 112.13円 | 117.99円 | 107.59円 |
2016 | 108.77円 | 121.22円 | 100.03円 |
2015 | 121.09円 | 125.22円 | 116.55円 |
2014 | 105.79円 | 121.35円 | 100.95円 |
日銀の東京外為市場における取引状況の統計資料から、2014年~2023年のドル/円相場の平均レートと高値・安値をまとめたのが上の表です。2022年(令和4年)、大きく円安方向に動いていることがわかります。
2023年には、一時1ドル150円を超えるところまで円安が進みました。2015年に起きた円安は翌年に落ち着きを取り戻しましたが、今回は2024年に入ってもその兆しは見えません。こうした円安の動きについては、その原因を知ることが重要です。
円安の主な原因
ここ数年の大幅なドル高・円安の主な原因は、日本と米国の金利差拡大です。日本銀行は経済活動を活発にするため、長らく低金利政策を維持してきました。一方で、米国はコロナ後の景気回復で起きたインフレ抑制のために、利上げを続けています。
こうして日米の金利差が開いたことで、金利が高いドルを買う動きが投資家の間で広がり、円が売られるようになったのです。2015年の円安が現在のように進まなかったのは、米国の経済低迷で利上げ期待が後退したためとされています。
2024年(令和6年)後半の為替相場の見通しは?
2024年も半分を過ぎましたが、円安はまだ続いている状況です。ここでは、今後の為替相場の動向や円安が終了するための条件などについて解説します。
予想が難しい為替相場
為替相場は政治や経済だけでなく、世界中で起きている紛争や自然災害にも影響を受けます。そのため、今後どう動くかを予想するのはプロのアナリストでも難しいとされており、確実にこうなるとは言いきれません。
為替相場に影響するどのような材料が出るか予想は難しいですが、材料が出た後にどう動くのかはある程度わかります。したがって、どのサインが出たら円安または円高になりやすいのかを知っておくことが重要です。
円安はいつまで?終了の条件
現在の円安ドル高傾向が和らぐためには、米国の物価上昇率が落ち着いたり景気が減速したりなどが必要です。2015年の円安のときのように、利上げの見込みが低くなることで状況が落ち着くというケースです。
また、政府・日銀による為替介入が行われると一時的にドル安・円高になります。ドル/円は2024年4月29日・5月2日に為替介入実施の動きを受け円高が進み、その後は再びドル買い・円売りの流れに転じました。
介入警戒しつつ円安が続く可能性
今後も急激な円安になれば、為替介入の可能性はあります。しかし、外貨準備額には限りがあり、警戒感を生んだとしてもそれだけでは為替市場の流れを大きく変えることは期待できません。
さらに、IMFの経済見通しで、米国の2024年経済成長率は2.7%と上方改定していることからも、景気後退の兆候は見られません。そのため、為替介入を警戒しながらもドル高・円安傾向は続くと見られています。
参考元:日本貿易振興機構(JETRO)2024年4月17日ビジネス短信
今後を予測するための指標
これから円安・円高どちらに向かうのかを予測するためには、為替相場を動かす要因・理由について知っておくことが必要です。要因はさまざまですが、ここでは代表的な3つの指標について紹介します。
経済の基礎的条件
経済成長率、物価指数、国際収支、雇用統計などの経済指標は、相場の動向を予測するための基礎データです。これらは具体的な数値として表すことができ、市場参加者の間で経済の基礎的条件(ファンダメンタルズ)と呼ばれています。
政治的な要因
政権交代、外交問題、政策・制度の変更などの政治的な要因も為替相場に影響します。政局不安や政権交代など、その国の将来の見通しがつかなくなると投資家は資金を引き上げます。その際に通貨が売られて、安くなってしまうのです。
市場参加者の心理
株価が業績以外に投資家の心理によって動くように、市場参加者の心理も為替相場に影響を与えることがあります。例えばある国に貿易赤字があっても、それが市場参加者の予想の範囲内なら為替相場が動かないといったケースです。
いつまで続くかわからない円安への対策
円安になるとどうなるのか、メリット・デメリットを整理しました。また、いつまで続くかわからない円安への対策として、おすすめの資産運用も紹介しています。自分に合った方法を検討してみてください。
円安のメリット・デメリット
円安になると海外において日本の輸出製品が安くなり、輸出企業が好調になります。個人レベルで身近なメリットとして考えられるのは、外貨建て資産を持っている場合にその価値が上昇することです。
デメリットは、輸入製品が高くなることです。ガソリン代や食料品をはじめとする数多くの製品の値上げは、円安を理由としています。エネルギーや食料の輸入依存度が高い日本にとって、生活に関わる部分は大きいといえるでしょう。
家計を守る資産運用【2024年版】
円安による物価の上昇は、家計に大きな影響を与えます。そこで、いつまでも続く円安に対しておすすめできる資産運用をピックアップしました。また、リスク回避のために注意すべきことについても紹介します。
日本株への投資
資産運用の代表的なものに、株式投資があります。割安感がある日本株は世界中の投資家から注目されており、円安の後押しもあり外国からの投資が増えている状況です。円安によるメリットがある輸出関連企業やインバウンド需要の高い企業、今後成長が見込まれる有望企業の日本株への投資を検討してみるとよいでしょう。
投資信託
これまで投資経験がなく、株式の売買に自信がない場合は投資信託がおすすめです。2024年1月から新NISAもスタートし、投資信託を始める人が増えてきました。
投資信託は、運用のプロに任せられる金融商品です。投資先もさまざまあり、毎月少額の積立投資も可能なため長期的な資産形成を考えている人におすすめできます。
外貨預金・外国債券
外貨建て資産の価値が高くなるのは、円安のメリットの1つです。今後も円安が進むと予想される場合は、外貨預金や外国債券への投資で為替差益を狙えます。
また、外貨預金は日本円の預金よりも金利が高いのもメリットです。為替相場について詳しく学びたいと考えている人は、外貨建て金融商が向いています。
リスク回避のための注意点
為替相場は、想定どおり動くとは限りません。円安メリットのある投資先だけまとめてしまうと、円高になったときに損失を受ける可能性があります。安定した資産運用を考えるなら、値動きの異なる商品に分散投資するのがおすすめです。
例えば、円安を予測して外貨預金を始める場合も、全ての資産を外貨に換えるのではなく、円の資産もしっかり確保しておきましょう。不測の事態が起こることも考えて、リターンとリスクのバランス調整をしておくことが大切です。
まとめ
今後、円安は長期化することも考えられます。円安がいつまで続くか予測し、リスクを回避するためには、毎日の為替相場に関するニュースや情報を分析できる力が重要です。
また、対策としての資産運用については、銀行に相談窓口やセミナーが設けられている場合もあるため、積極的に活用してみてください。
大学卒業後、システムエンジニアを経て通信機器商社の経営戦略室で新規事業の立ち上げに参画。退社後はシステム会社の代表取締役に就任し、パソコン通信サービスを展開。1996年に著書『わかる!イントラネット』執筆後はフリーランスとして活動。事業経験とFP資格を活かしビジネス系ライターとして複数メディアで執筆中。