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適量の飲酒はメリットだらけ?
アルコール摂取による4つの効果と注意すべきこと

2023/07/13
(提供元:CyberKnot

「酒は百薬の長」という言葉から、お酒は少し飲んだ方が体に良いと考えている人もいるでしょう。ただし、飲み過ぎによるデメリットも大きいのが事実です。では、飲酒によるメリットを得るための「適量」がどれくらいか知っていますか?この記事では、飲酒のメリットとデメリット、お酒の適量と気をつけたいポイントを紹介します。

飲酒のメリット

飲酒のメリット

飲酒は気分を良くするだけでなく、体にもさまざまな変化を引き起こします。その中には、良い変化も悪い変化もあるのです。まずは、飲酒が心身に与える影響のうち、メリットを4つ紹介します。

ストレス解消

アルコールは、人間の理性を司る大脳新皮質の働きを鈍くします。それにより、普段は抑制されている感情の動きが活発になり、さわやかな気分になる、気分が活発になるなどの変化が起こります。

コミュニケーション促進

お酒は会食の場を盛り上げ、会話を増やすのにも役立っています。お酒を一緒に楽しむことで、人間関係を円滑にする効果があるといえるでしょう。

食欲増進

アルコールには消化酵素の分泌を増やす働きがあります。また胃の血流を良くするため、消化を促進し、食欲を増進させる効果をもたらします。

病気の予防

飲酒は血中のHDLコレステロールを増加させる効果があります。HDLコレステロールはいわゆる善玉コレステロールで、動脈硬化を抑制する働きがあるものです。心臓病や脳梗塞、糖尿病では、まったく飲まないよりも少し飲酒した方が発症リスクを下げることが知られています。

飲酒のデメリット

飲酒のデメリット

飲酒にはメリットだけでなく、デメリットもあります。特に飲み過ぎた場合は、体に重大な悪影響を及ぼすこともあります。ここではデメリットを大きく3つに分けて解説します。

急性アルコール中毒

短期間にアルコールを大量摂取することで脳の機能が低下し、意識障害を起こした状態です。
アルコールの血中濃度が一定の濃度を超えると小脳の機能が低下し、ろれつが回らない、まっすぐ歩けないなどの運動機能の障害が現れます。さらに濃度が上がると意識障害を起こし、嘔吐や血圧の低下、呼吸状態の悪化によって最悪の場合死に至ります。

さまざまな病気のリスク増大

アルコールは全身の臓器に影響し、さまざまな病気のリスクを増大させます。

心臓病・脳卒中

心臓病や脳梗塞は少量飲酒でリスクが下がりますが、純アルコール換算で1日約20g以上の摂取で発症リスクが上がることが知られています。一方、脳出血は少量の飲酒であっても、摂取量が増えるほど血圧を上げることが知られています。
また、習慣的に飲酒することで血圧が上がり、高血圧の原因になります。高血圧は心臓や脳の血管に負荷をかけ続けるため、心筋梗塞や脳梗塞の発症につながります。

糖尿病

糖尿病も少量飲酒でリスクが下がるといわれていますが、1日20~25g以上のアルコール摂取では血糖値を上昇させる可能性があります。長期間の飲酒によって、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの分泌が低下することも知られています。

肝臓病

肝臓は、アルコールによって障害を受ける代表的な臓器です。飲み過ぎると肝臓に脂肪が溜まる脂肪肝を引き起こします。この状態が続くと肝臓の組織に炎症や損傷が起こり、肝機能が低下します。進行すると肝硬変や肝がんの発生につながります。

高尿酸血症・痛風

飲み過ぎは、血液中の尿酸値が高くなる「高尿酸血症」を招きます。この状態が長く続くと、足の親指の付け根が痛くなる痛風発作の発症につながるのです。
尿酸はプリン体を原料に作られますが、アルコールにも体内で尿酸を作りやすくし、排泄しにくくする働きがあります。プリン体を含むビールだけに注目されがちですが、お酒の量には種類を問わず注意が必要です。

その他の病気

飲酒は、胃食道逆流症、下痢、膵臓病、がんや認知症など、さまざまな病気のリスクにも影響します。特に食道がんでは、喫煙と飲酒両方を行うことでリスクを高め合う交互作用が知られています。

アルコール依存症

精神的・身体的に飲酒に依存し、自分では飲酒のコントロールができなくなる状態です。習慣的に飲酒していると耐性が生まれ、徐々に飲酒量が増加することで、お酒がないと物足りないという精神依存を引き起こします。
その状態で飲酒を続けていると、身体的な依存も現れます。飲酒を止めると不眠や発汗、不安やいらいら感が出現し、さらに飲酒するという悪循環が生まれます。アルコール依存症は身体への影響だけでなく、仕事の効率低下や家族との関係悪化も大きな問題といえるでしょう。

健康を守りながら飲酒するために注意すべきこと

健康を守りながら飲酒するために注意すべきこと

飲酒にはメリットもありますが、多くのデメリットがあることも分かりました。健康を守りながら適度にお酒を楽しむために、注意したいポイントを3つ紹介します。

適量飲酒にとどめる

飲酒のデメリットを抑え、メリットを得るためには、適量を守って飲酒することが大切です。

「適量」はどれくらい?

厚生労働省によると「節度ある適度な飲酒」は、純アルコールで1日20g程度、女性ではその半分程度とされています。飲酒による死亡リスクが最も低くなることから設定された量です。

主なお酒の目安量(純アルコール20g相当)

  • ビール:中瓶1本(500mL)
  • 日本酒:1合(180mL)
  • ワイン:2杯(240mL)
  • 焼酎(35度):半合(90mL)
  • ウイスキー:ダブル1杯(60mL)

出典:厚生労働省「アルコール

ただし、アルコールの分解能力は人によって異なるため、少量の飲酒でも顔が赤くなる人ではより少ない量が適当とされます。また、飲酒習慣のない人に飲酒を推奨するものではないことにも注意が必要です。

飲酒量を減らす方法

「適量」より多くのお酒を習慣的に飲んでいる場合は、飲酒のメリットよりデメリットが上回る可能性があります。まずは今より1杯減らすところからチャレンジし、適量飲酒を目指していきましょう。
ストレスなく量を減らすには、ノンアルコール飲料や炭酸水に置き換えるのがおすすめです。また、お酒を買い置きしない、その日に飲む分しか冷蔵庫に入れないようにするのも手です。
瓶ビールや日本酒などの注いで飲むお酒を避け、グラスで注文するお酒を選ぶのも、飲み過ぎを防ぐのに役立ちます。

休肝日を設ける

飲酒しない日、いわゆる「休肝日」を設けるのも、飲酒の総量を減らすために大切です。また、肝臓などの臓器を修復するのにも役立っていると考えられています。
アルコールへの依存を防ぐためにも、週1日以上は飲まない日を作ると良いでしょう。取り組む曜日を決める、代わりに飲むものを準備しておくなどの工夫がおすすめです。

おつまみの選び方にも注意する

お酒と一緒に食べるおつまみも、病気のリスクを上げる可能性があります。お酒によって食欲が増進しおつまみを食べ過ぎることで、カロリーや脂質、塩分の摂取量が増えると、糖尿病や脂質異常症、高血圧などの発症につながります。
一方、飲み過ぎを防ぐためには食べながら飲むことも大切です。おつまみは、内容と量に注意して選びましょう。揚げ物や肉類を控え、代わりに刺身や冷奴を選ぶのがおすすめです。さらにサラダやおひたし、もずく酢などの野菜や海藻類を積極的にとると、生活習慣病の予防に役立ちます。

妊娠したら飲酒をしない

妊娠中の飲酒は胎児の発達を妨げ、低体重や脳障害などを引き起こすことがあります。これを「胎児性アルコール・スペクトラム障害」といい、少量飲酒でも影響することが知られています。妊娠したらお酒は飲まない、周囲も飲ませないようにすることが重要です。

まとめ

飲酒にはさまざまなメリットがありますが、飲み過ぎるとメリットを上回るデメリットが心身に現れます。アルコールのメリットを得るには、適量を守って飲むことが大切です。適量を把握し、飲み過ぎている場合は自分に合った工夫を見つけて、お酒と上手に付き合っていきましょう。



著者 成松 由佳

大学院修士課程修了後、製薬会社での勤務を経て、特定保健指導に従事。併せてフリーのライターとして健康・栄養コラムを執筆している。またパーソナル栄養相談やレシピ開発、ラジオ出演など幅広く活動。食事に悩む時間や精神的なストレスを減らし、前向きに暮らせるようサポートしている。

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