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扶養のメリットとは?
する側とされる側それぞれのデメリットや注意点もあわせて解説

2025/12/30
(提供元:Mattrz
扶養のメリットとは?する側とされる側それぞれのデメリットや注意点もあわせて解説

働くうえで「扶養」に関する知識は、家計管理や働き方を考えるうえで欠かせません。「扶養に入るとどのようなメリットがあるのか」「扶養に入る場合と入らない場合では、どちらが得なのか」と悩む人も多いでしょう。本記事では、「扶養する側」「扶養される側」双方のメリット・デメリットに加え、扶養を選択する際の判断ポイントを分かりやすく解説します。

扶養とは?

扶養とは?

扶養とは、自分の力だけで生計を立てるのが難しい親族(配偶者や子ども、親など)を経済的に養うことを指します。

税制上の扶養と社会保険上の扶養の違い

扶養には「税制上」と「社会保険上」の2種類があります。

税制上の扶養は、所得税や住民税の負担を軽減する制度です。扶養する人の所得から、扶養控除・配偶者控除として一定額を差し引くことで、支払う税金が安くなります。
社会保険上の扶養は、保険料の支払いが免除される制度です。扶養される家族(被扶養者)は、保険料を支払わずに健康保険に加入でき、自己負担3割で受診できます。

扶養に入るための基本的な条件

「税制上」と「社会保険上」の扶養に入るための条件を紹介します。

【税制上】扶養に入るための条件

  1. 配偶者以外の親族(6親等内の血族・3親等内の姻族)または都道府県知事から養育を委託された児童(里子)・市町村長から擁護を委託された高齢者(養護受託老人)
  2. 納税者と生計を一にしていること
  3. 年間の合計所得が58万円以下
  4. 給与所得のみの場合123万円以下
  5. 青色申告者や白色申告者ではない

国税庁「令和7年度税制改正(基礎控除の見直し等関係)Q&A

【社会保険上】扶養に入るための条件

  • 【同居・別居】被保険者(健康保険に加入している会社員)に生計を維持されている配偶者(事実婚を含む)・子ども・孫・直系尊属・兄弟姉妹
  • 【同居】被保険者の3親等以内の親族・姻族や事実婚の配偶者の父母・子ども

収入の要件(被保険者と同居の場合)

  • 年間収入が130万円未満
  • 60歳以上または障害厚生年金受給者と同等の場合180万円未満
  • 年間収入が被保険者の2分の1未満

収入の要件(被保険者と別居の場合)

  • 年間収入が130万円未満
  • 60歳以上または障害厚生年金受給者と同等の場合180万円未満
  • 被保険者からの援助額よりも収入額が下回る

全国健康保険協会

扶養する側のメリット・デメリット

扶養する側のメリット・デメリット

家族を扶養に入れるとどのようなメリット・デメリットがあるのか確認していきましょう。

扶養するメリット

まずは扶養する側のメリットを紹介します。

所得税・住民税の負担が軽減される可能性がある

扶養控除や配偶者控除を利用することで課税所得が減り、所得税・住民税の負担が軽減されるのがメリットです。所得税は累進課税(所得が高いほど税率が上がる)であるため、高所得な人ほど節税効果が大きくなる傾向があります。

家族全体の家計管理がしやすくなる

家族を被扶養者の健康保険組合に1本化することで、全体の家計管理がしやすくなります。保険料の二重払いや払い忘れを防げるのもメリットです。

扶養するデメリット

続いては、扶養するデメリットを紹介します。

扶養する家族が増えることで生活費負担が増加する

家族を扶養すると税制上のメリットがある一方で、食費や教育費などの生活費負担は増加します。年齢や人数によって大きな負担になるため、事前に認識しておきましょう。

医療費や生活費を継続的に支える必要がある

扶養する側は、家族の医療費や生活費を継続的に支えなければなりません。家族が自立するまで、あるいは生涯にわたって経済的責任を負い続ける覚悟が必要です。

扶養される側のメリット・デメリット

扶養される側のメリット・デメリット

扶養される側には、どのようなメリット・デメリットがあるのか確認していきましょう。

扶養されるメリット

扶養されるメリットを紹介します。

健康保険料や年金保険料の自己負担が軽減される

扶養に入るメリットは、健康保険料や年金保険料の自己負担が軽減されることです。自身で支払う必要がないため、年間で数十万円単位の支出を抑えられます。

医療費負担が抑えられるケースがある

扶養者が加入している健康保険組合によっては、付加給付などを受けられるケースがあります。法定給付を併せて利用すれば、医療費負担を抑えることが可能です。「高齢・持病」などで医療費負担に不安がある人にとって、大きなメリットといえるでしょう。

扶養されるデメリット

続いては、扶養されるデメリットを紹介します。

収入に制限がかかる

上述したとおり、扶養に入るためにはさまざまな要件をクリアする必要があります。扶養に入るのであれば、年収の壁を超えないように仕事量を調整しなければなりません。制度の緩和が進んでいるものの、手取り額を維持するために、依然として「収入の上限」を意識した働き方が求められています。

働き方の選択肢が狭まる可能性がある

収入に制限がかかるということは、働き方の選択肢が狭まることにもつながります。正社員への雇用やフルタイム勤務ができず、キャリアアップを諦めるケースが考えられます。

扶養に関わるお金のポイント

扶養に関わるお金のポイント

2025年度は「103万円の壁」が崩壊し、いわゆる「働き控え」「働き損」をしないよう、制度が改正されました。

保険料・税金・年金への影響

扶養は、保険料・税金・年金に大きく影響します。扶養される側は、保険料を払わなくても健康保険の給付を受けられます。また、国民年金第3号被保険者(厚生年金に加入している会社員の配偶者)の場合、年金保険料を納付する必要もありません。扶養は税金への影響も大きく、扶養する側は所得控除を受けられるため、税負担を軽減することが可能です。扶養者は支払う税金が安くなり、実質的な手取り金額が増えます。

収入の要件は、年齢や同居か別居かによって異なる設定のため、自身の状況と照らし合わせて確認することが大切です。

国税庁「扶養控除

配偶者が扶養に入った場合、国民年金第3号被保険者となり、保険料を納めなくても老齢基礎年金を受給できます。

ただし、厚生年金は対象外であるため、共働きで厚生年金に加入するよりも年金受給額が少なくなると認識しておきましょう。配偶者以外が扶養に入る場合は、20歳以上60歳未満であれば、年金保険料の支払い義務が発生します。

親や家族を扶養する場合の注意点

「税負担が少なくなるから」という理由だけで、安易に親を扶養にすると、予想外の出費を招くケースがあります。特に親が高齢の場合は、医療や介護を利用する機会が増えるため、注意が必要です。
扶養に入れて世帯所得が上がると、介護保険料や介護サービスの自己負担割合、高額療養費制度の自己負担限度額なども上がってしまう可能性があります。また、親がまだ働いている場合は、労働時間や収入を調整する必要もあります。

扶養を選ぶかどうか判断する際の考え方

扶養を選ぶかどうか判断する際の考え方

「扶養の範囲内で働くのと、扶養を外れて働くのは結局どちらが良いの?」という疑問に対して、明確な正解はありません。目先の手取り額に注目するのではなく、中長期的な視点を持つことが大切です。

家族構成や将来設計を踏まえて検討する

扶養の選択は、現在の家計だけでなく将来のライフプランを見据えて判断しましょう。

家族が増える場合の影響

今後、子どもが生まれる予定がある場合や、親を扶養に入れることを検討している場合は、世帯収支の変化を確認しておくことが重要です。
親を扶養に入れれば税負担は軽減されますが、世帯所得の変動により医療・介護費の自己負担が跳ね上がるリスクもあります。また、16歳未満の子どもは現在、税制上の扶養控除対象外である点にも注意が必要です。
目先の節税額だけでなく、将来的な負担増を含めたトータルバランスで最適な選択を検討しましょう。

長期的な収入・働き方の視点が重要

「扶養を外れると損をする」というイメージを持つ人も多いでしょう。しかし、それはあくまでも「現在支払う保険料」にのみ注目した場合の考え方です。扶養に入れば、保険料を支払わずに健康保険に加入でき、老齢基礎年金を受け取れるため、「扶養に入った方が絶対にお得」と感じられがちです。
一方で、人生100年時代においては、扶養を外れて社会保険に加入し、厚生年金を受け取ることが将来への大きな備えとなるケースもあります。また、収入の壁を気にせず働き、生涯賃金を高めることが、長期的な家計の安定につながる可能性もあります。
目先の手取り額や保険料だけにとらわれるのではなく、将来の家族構成やライフプランを見据えた長期的な視点で、最適な選択をすることが大切です。

まとめ

扶養する側・扶養される側の双方に、メリットとデメリットが存在します。扶養に入るかどうかは、現在の状況だけでなく、家族構成や将来設計によって最適解が変わるものです。最新の制度内容を正しく理解し、自身のライフプランに合った選択をしましょう。



著者プロフィール

著者 一谷 千春

2級FP技能士

大手生命保険の営業を5年間経験し、FP2級を取得。現在は金融ライターとして資産運用、保険、節税に関する記事を執筆。200記事以上を手掛け、読者に信頼される情報提供を目指す。金融業界の知識と実務経験を活かし、わかりやすく実践的な内容を提供。

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