預金利息の計算方法は?
式とシミュレーションを交えてわかりやすく紹介
銀行に預金すると、利息が付いてお金が少し増えます。預金を考えるときには、利息がどれくらい付くかも考えてみましょう。本記事では、預金利息の計算方法について説明します。預金の種類による違いや税金についても理解しておきましょう。
そもそも利息って何?金利との違いは?
銀行にお金を預けると「利息」が付いてきます。そもそも利息とは何なのかを知っておきましょう。
利息とはお金を貸してもらう手数料
お金の貸し借りでは利息が発生します。利息とは、お金を貸してもらったことに対する対価として払うお金です。「利子」も利息と同じ意味になります。
たとえば、銀行から10万円を借りた場合、10万円を返すだけでは銀行に全く利益がありません。お金を貸してもらった手数料として、利息を上乗せして返す必要があります。
預金では銀行から利息を受け取る
銀行への預金は、預金する人が銀行にお金を貸している状態です。銀行は個人から預かったお金をもとに、企業への貸付などを行って収益を得ています。預金の利息とは、銀行から預金者に対し、お金を使わせてくれたお礼として支払われるものなのです。
金利とは利息の割合
金利とは、借りたお金に対する利息の割合のことです。すなわち、借りたお金に金利をかけたものが利息になります。
金利は年利を示しているのが一般的
金利は通常、「年〇%」という形で表示されます。これは、1年間借りた場合の利息の割合(年利)です。たとえば、金利10%で10万円を1年間借りた場合、1年後に払う利息は「10万円×10%=1万円」となります。
利息には税金がかかる
利息を受け取ったときには、原則的に税金がかかります。個人が受け取る預金の利息は「利子所得」となり、他の所得とは合算せずに課税が行われます。利子所得に課される税金は、源泉徴収される仕組みになっています。
預金利息の税率
預金利息には、20.315%の税率で課税が行われます。内訳は、国税である所得税(復興特別所得税含む)が15.315%、地方税である住民税が5%です。銀行から利息を受け取るときには、税金分が差し引きされた金額が口座に入金されることになります。
普通預金の利息の計算方法
お金を普通預金口座に入れておいたら、わずかながら利息が付いてきます。この利息はどのようにして計算されるのでしょうか?ここからは、普通預金の利息を計算する方法について説明します。
普通預金は変動金利
普通預金の金利は固定されていません。変動金利となっており、金利改定があるたびに適用される金利が変わります。
利息が付く最低金額
預入残高がいくらから利息が付くかは、金融機関によって異なります。残高1,000円以上で利息が付くのが一般的です。
利息の支払日
普通預金の利息の支払日も金融機関によって異なります。通常は年2回で、2月と8月、3月と9月のように、半年ごとに支払われます。なお、利息からは税金が源泉徴収されるため、入金されるのは税引き後の金額です。
利息は元本に組み入れ
普通預金の場合、半年ごとに支払われた利息(税引き後の金額)は元本に組み入れられます。支払日以降は、それまでの利息を組み入れた元本にもとづき利息を計算することになります。
普通預金の利息の計算式
普通預金の利息は、1日ごとに計算します。残高によって金利が変わるタイプの普通預金の場合には、24時時点の残高を基準にするのが通常です。1日に発生する利息は次の計算式で出します。
1日あたりの利息=預入残高×金利÷365
金利が改定されたときには、改定された日から預金残高すべてに新しい金利が適用されます。利息の支払日には、前回の支払日から今回の支払日の前日までの半年間の利息を合計した金額が、口座に入金されます。
付利単位とは?
実際の利息の計算は、付利単位によって変わります。付利単位とは、利息計算の基準となる預入残高の単位です。付利単位が100円の場合には100円未満を切り捨て、付利単位1円の場合には1円未満を切り捨てて計算します。
普通預金の利息をシミュレーション
上記の計算式にもとづき、普通預金の利息をシミュレーションしてみましょう。普通預金金利が0.001%のときに100万円を預金したと仮定します。1日あたりの利息は次のようになります。
●100万円×0.001%÷365=0.027397…
半年間(182日間)金利も預金残高も変わらなかった場合には、半年後に支払われる利息は次のとおりです。
●0.027397×182日=4.986…
1円未満は切り捨てとなるため、4円の利息が支払われます。なお、実際の受取額は税金分が差し引かれた額です。
定期預金の利息の計算方法
定期預金とは、預入期間が決まっている預金のことです。普通預金よりも有利な金利が設定されており、固定金利型と変動金利型があるのが特徴です。ここからは、定期預金の利息を計算する方法について説明します。
単利と複利の違い
定期預金の利息の計算方法は、単利か複利かで異なります。単利と複利の違いは、次のとおりです。
単利とは?
当初預け入れした元本に対してのみ利息を付ける方法です。単利の場合には、元本に金利をかけて利息を算出します。
複利とは?
発生する利息を一定期間ごとに元本に組み入れて、利息を計算する方法です。半年複利の場合、最初の半年は元本に金利をかけて利息を算出します。半年経つとそれまでに発生した利息が元本に加えられるため、利息を加算した元本に金利をかけたものが利息となります。
定期預金ならどれくらい利息が付く?
定期預金の利息をシミュレーションしてみましょう。金利0.1%の固定金利、3年ものの定期預金に100万円を預け入れ、利息は1年複利で計算されるものと仮定してみます(税金は考慮せず)。
●1年後に得られる利息…100万円×0.1%=1,000円
●2年後に得られる利息…1,000円+(100万円+1,000円)×0.1%=2,001円
●3年後に得られる利息…2,001円+(100万円+2,001円)×0.1%=3,003円
定期預金の利息は、満期日に一括して受け取るケースが多くなっています。上記の例では、3年後の受取利息は3,003円となります。
中途解約した場合は?
定期預金は、満期前に中途解約することも可能です。定期預金を中途解約した場合には、本来の金利よりも低い中途解約利率が適用されます。預入日までさかのぼって再計算した利息を、解約時に受け取ることになります。
まとめ
銀行にお金を預金すると、利息が付きます。普通預金や定期預金に預け入れするときには、利息がどれくらい付くのかも計算しておくとよいでしょう。現在、預金の金利は低く、得られる利息も少なくなっています。投資も組み合わせて資産運用することも検討しましょう。
大学卒業後、複数の法律事務所に勤務。30代で結婚、出産した後、5年間の専業主婦経験を経て仕事復帰。現在はAFP、行政書士、夫婦カウンセラーとして活動中。夫婦問題に悩む幅広い世代の男女にカウンセリングを行っており、離婚を考える人には手続きのサポート、生活設計や子育てについてのアドバイス、自分らしい生き方を見つけるコーチングを行っている。