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年金をもらいながら働くことはできる?
メリットや計算方法、働き方を解説

2025/12/25
(提供元:Mattrz

老後も元気に働き続けたいと考える人が増えるなか、「年金をもらいながら働くことはできるの?」と疑問に感じる方も少なくありません。年金を受け取りながら働くことは可能ですが、収入によって年金が調整される仕組みがあります。本記事では、年金をもらいながら働くメリットや注意点をわかりやすく解説します。

年金をもらいながら働くことはできる?

年金をもらいながら働くことはできる?

年金をもらいながらでも、働いて収入を得ることは可能です。ただし、年金の支給額が調整される「在職老齢年金」という仕組みがあります。

在職老齢年金の仕組み

在職老齢年金制度は、60歳以降に老齢厚生年金を受け取りながら、厚生年金に加入して働く人に適用されます。給与と年金の月額の合計が基準額を超えると、年金の一部または全部が支給停止される仕組みです。
在職老齢年金による支給停止は、老齢厚生年金について行われるものです。老齢基礎年金は支給停止の対象にはならないため、働いていても全額受け取れます。

65歳以降の年金と雇用の関係

年金支給開始は原則として65歳からですが、厚生年金には70歳まで加入できます。65歳以降も会社などに雇用される場合、条件を満たしていれば厚生年金に加入する必要があります。そして、厚生年金に加入しながら年金を受け取る人に対しては、年金の支給調整が行われる仕組みです。
65歳以降も厚生年金に加入すれば、老齢厚生年金の額が増えます。そのため、65歳以上で在職中の人については、年金の増額分を年金受取額に反映させる「在職定時改定」が年1回行われる仕組みになっています。
なお、働いて年金が減るのは、65歳以上の人だけではありません。65歳未満でも「特別支給の老齢厚生年金」をもらう人や、年金を繰上げ受給する人がいます。65歳未満で年金をもらいながら働く場合にも在職老齢年金の対象となり、支給調整が行われます。
65歳未満で働く人は、再雇用などで収入が減った場合に、雇用保険から「高年齢雇用継続給付」をもらえるケースもあります。年金をもらいながら高年齢雇用継続給付を受給する場合、在職老齢年金による支給停止に加え、さらに年金の一部が支給停止になることにも注意しておきましょう。

年金をもらいながら働くメリット

年金をもらいながら働くメリット

年金をもらいながら働くことは、生活や気持ちの面で多くのメリットがあります。

収入が増えて生活に余裕が生まれる

総務省の「2024年(令和6年)家計調査」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯、65歳以上の単身者無職世帯の家計収支はそれぞれ次のようになっています。

65歳以上の無職世帯の家計収支

  夫婦のみ無職世帯 単身無職世帯
実収入(公的年金含む) 25万2,818円 13万4,116円
支出(消費支出+非消費支出) 28万6,877円 16万1,933円
収支 △3万4,058円 △2万7,817円

【出典】総務省:家計調査報告 〔 家計収支編 〕 2024年(令和6年)平均結果の概要

65歳以上の無職世帯では、夫婦世帯、単身世帯とも、毎月の家計収支は赤字となっています。年金だけで生活していくのはかなり厳しい現状がうかがえます。働くことにより収入が増えれば、生活費に充てるお金を増やせます。趣味や旅行、レジャーなどを楽しむ余裕もできるでしょう。

社会とのつながりを維持できる

働き続けることで、社会との接点を持ち続けられる点も見逃せないメリットです。仕事を通じて人と関わることで、生活にリズムが生まれ、孤立感の予防にもつながります。
「誰かの役に立っている」「必要とされている」という感覚は、年齢を重ねても大きな自信となり、心身の健康維持にも良い影響を与えます。

年金をもらいながら働くデメリット

年金をもらいながら働くデメリット

年金をもらいながら働くことには多くのメリットがありますが、注意しておきたい点もあります。事前にデメリットも確認しておきましょう。

収入によって年金が減額される可能性がある

厚生年金に加入して働く場合、収入が一定額を超えると、在職老齢年金制度により年金が減額されます。収入を増やすために労働時間を増やしたつもりでも、年金が減って思ったほど収入が増えないケースがあります。

税金や手続きが複雑になることがある

年金受給者については、確定申告の負担を減らすため「確定申告不要制度」が設けられています。次の1、2の条件を満たす人については、計算の結果納税額がある場合でも、確定申告は必要ありません。

確定申告不要制度の対象者

  1. 公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下であり、かつ、その公的年金等の全部が源泉徴収の対象
  2. 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である

働いて給与所得が20万円以上になれば、確定申告が必要となります。年末調整で済むわけではないため、手間がかかるのがデメリットです。

年金が減額される場合の計算方法

年金が減額される場合の計算方法

在職老齢年金制度により年金がどれくらい減額されるのか、計算方法を見てみましょう。

在職老齢年金の基本的な計算の考え方

在職老齢年金による支給停止の基準額は51万円(2025年度)です。年金と給与の月額を合計して51万円を超える場合、超えた額の2分の1に相当する年金が支給停止になります。
2025年度の1か月あたりの給与が45万円、老齢厚生年金が10万円と仮定してシミュレーションしてみましょう。

この場合の支給停止額は以下となります。

{(45万円+10万円)-51万円}×1/2=2万円
支給される老齢厚生年金は
10万円-2万円=8万円

年金が全額支給されるケース

月々の給与と年金を合計しても基準額を超えない場合には、年金は全額支給されます。たとえば、給与40万円、年金10万円の場合、合計額は50万円となり、基準額の51万円を超えません。この場合には支給停止はなく、年金は10万円全額が支給されます。
なお、在職老齢年金の支給停止の基準額は、2026年4月以降「62万円」に大幅に引き上げられる予定です。今後は年金が減ることをあまり気にせずに働ける環境になることが予想されます。

年金をもらいながら働く際の働き方のポイント

年金をもらいながら働く際の働き方のポイント

ここからは、年金をもらいながら働く場合に注意しておきたい点を説明します。

収入と年金のバランスを考える

年金をもらいながら働く場合、働く時間を増やすほど収入が増えるとは限りません。在職老齢年金の仕組みにより、年金が減額になる可能性もあります。あらかじめ年金額を確認し、働き方を考えましょう。
なお、65歳になっても年金を受け取らず、繰下げすることもできます。繰下げすると年金が増えるメリットがありますが、在職老齢年金による支給停止部分については増額しません。収入が多くなりそうな場合には、繰下げについても慎重に検討する必要があります。

退職・再就職時の注意点

年金をもらいながら働いていた人が退職した場合、年金額の見直しが行われます。ただし、70歳未満で退職する場合、すぐに再就職するかどうかで扱いが変わります。
1か月以上再就職しない場合には、在職老齢年金による支給調整が終了し、退職した翌月分から老齢厚生年金が全額支給されます。この場合、年金額に反映されていなかった退職までの厚生年金加入期間が加算され、年金額の再計算(退職改定)が行われます。
一方、退職して1か月以内に再就職し、厚生年金に加入した場合には、退職改定は行われません。引き続き給与と年金の合計額に応じて、在職老齢年金による支給調整が行われます。

まとめ

在職老齢年金の仕組みにより、厚生年金に加入して働く場合は年金受給額が調整されることがあります。2026年4月からは支給停止の基準額が引き上げられる予定で、今後は年金を減額されずに働ける範囲が大きく広がります。制度の基本や計算方法を理解したうえで、自分に合った老後の働き方を検討しましょう。



著者プロフィール

著者 森本 由紀

AFP(日本FP協会認定)、行政書士、夫婦カウンセラー

大学卒業後、複数の法律事務所に勤務。30代で結婚、出産した後、5年間の専業主婦経験を経て仕事復帰。現在はAFP、行政書士、夫婦カウンセラーとして活動中。夫婦問題に悩む幅広い世代の男女にカウンセリングを行っており、離婚を考える人には手続きのサポート、生活設計や子育てについてのアドバイス、自分らしい生き方を見つけるコーチングを行っている。

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