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年金を全額もらいながら働くことはできる?
計算方法ともらうコツなどを紹介

2024/03/05
(提供元:CyberKnot

日本では、65歳以上の方は年金が支給されます。しかし、支給額だけでは生活できない、毎日のメリハリを感じたいなどの理由で、65歳以上でも働くことを選択する人が少なくありません。年金受給中でも働くことは可能ですが、その際に留意すべき点がいくつか存在します。この記事では、年金を受け取りながら働く際のポイントや注意事項について解説します。

年金をもらいながら働くことは可能!

年金をもらいながら働くことは可能!

年金をもらいながら働くことは可能です。在職老齢年金制度という制度が適用され、年金をもらいながら働いて給料として収入を得られます。この制度は、60歳以降でも厚生年金保険に加入している人が利用できるもので、働きながら年金を受け取ることができます。

ただし、在職老齢年金制度を利用する際には、受け取れる年金額が給料との合計額に応じて減少する可能性がある点に注意が必要です。給料と年金の収入合計が一定の基準を超えると、年金額が調整されるからです。この点を理解し、計画的に働くことが重要です。在職老齢年金の具体的な計算方法について、以下で詳しく解説します。

在職老齢年金の計算方法

在職老齢年金の計算方法

60歳以降で厚生年金に加入しており、年金をもらいながら働くと、在職老齢年金制度が適用されます。この制度では、収入に応じて受け取れる年金額が変動します。
場合によっては年金の支給額が減額、または支給停止になるため、ルールを把握しておくことが大切です。基本の計算方法や条件、注意点を解説するので、早速確認してみましょう。

月額収入が50万円以下の場合

年金の基本月額と給与などの総報酬月額の合計が50万円以下の場合、年金は全額支給されます。総報酬月額とは、給与だけでなく賞与も含めた年収を月単位で割った金額のことです。
例えば、毎月の年金が20万円で給与が20万円の場合、月の収入は40万円です。しかし、賞与が年間150万円だとすると年間収入は630万円、月で割ると約52.5万円となり、年金全額支給のラインをオーバーしてしまいます。

月額収入が50万円以上の場合

年金の基本月額と総報酬月額が50万円以上の場合、「基本月額-(総報酬月額相当額+基本月額-50万円)× 1/2」で算出された金額が支給されます。
月の収入の全額が50万円を超えると、年金額が減額される点に注意が必要です。
例えば、年金が20万円、総報酬月額が38万円だった場合、以下の計算式が成り立ちます。

● 20万円-(38万円+20万円-50万円)× 1/2=16万円

以上の計算から、毎月の年金から16万円に減額されることがわかります。

基本月額の確認方法

年金の基本月額は、これまでに納めてきた厚生年金の金額や雇用年金に加入していた年数によって一人ひとり異なります。確認するには、ねんきんネットなどの公的サイトがおすすめです。
ねんきんネットでは、会員登録をしてログインすると、自身のこれまでの納入額や今後の年金支給額などを確認できます。毎月の収入を正しく計算するためにも、自分の年金基本月額をきちんと把握しておきましょう。

年金をもらいながら働く4つの方法

年金をもらいながら働く4つの方法

65歳以上の人が年金をもらいながら働く方法は多数ありますが、そのなかでも代表的な働き方を紹介します。各働き方の注意点や条件も確認していきましょう。

現職で再雇用される

定年退職を迎えても、現職で再雇用してもらう方法があります。高齢者雇用機会安定法により、定年退職後の高齢者にも働く機会を与えることが企業の義務として定められました。
企業によっては雇用継続制度を取り入れているケースもあり、65歳以上など定年退職後に転職活動をする負担をなくすことが可能です。企業にとっても、十分に社内でのスキルや経験のある人材を確保しておけるというメリットがあります。

別の企業に再就職する

これまで勤務していた会社から転職し、別の企業に再就職する方法もあります。高齢化の影響を受けてシニア世代の募集をしている企業や、シニア世代をターゲットとした転職サービスなども活用できる点が魅力です。
これまでのスキルや経験を活かせる仕事や、憧れていた仕事などに転職すれば、定年退職後もハリのある毎日を送れるでしょう。

個人事業主として働く

会社員としてではなく、個人事業主として自由な働き方を選ぶことも可能です。近年はネットで簡単に業務委託の仕事を探せるため、個人事業主になるハードルは下がっています。
確定申告を行う必要がありますが、個人事業主として開業届を出すことを忘れないようにしましょう。青色申告が適用されるので、仕事で使ったお金を経費に計上できて税金の控除を受けられます。

パートやアルバイトで働く

パートやアルバイトとして無理なく働くこともおすすめです。会社員よりは収入は下がるものの、自分のペースで働ける、興味があった分野に気軽にチャレンジできるなどのメリットがあります。
注意点として、パートやアルバイトは勤務日数や勤務時間によっては社会保険に加入しなければなりません。社会保険に加入してしまうと在職老齢年金制度が適用され、年金額や給与額によっては年金が減額される可能性があります。

年金をもらいながら働くコツ

年金をもらいながら働くコツ

ここからは、年金をもらいながら働くコツや注意点を紹介します。年金を全額受け取りながら働くためには、以下の点も意識することが大切です。

月の収入を50万円以内にする

再雇用や転職、パートやアルバイトとして雇用されながら働く場合、年金と合計して月の収入を50万円以下に調整しましょう。50万円を超えてしまうと年金が減額され、本来もらえたはずの金額分損をしてしまいます。
とくに賞与は見落としやすいポイントなので、評価によって賞与額が上がる場合などは注意が必要です。人事部などと相談しながら、給与や賞与を調整してもらいましょう。

業務委託で働く

業務委託で働くことで、月50万円の上限を気にする必要がなくなります。

在職老齢年金制度が適用されるのは、60歳以上の会社員が対象です。雇用されない業務委託、個人事業主の働き方なら、毎月の合計の収入が50万円以上でも年金が減額される心配はありません。個人事業主は収入が不安定になるリスクもあるので、安定して仕事を受けられるような努力も忘れないようにしましょう。

確定申告の知識をつけておく

年金をもらいながら働くなら、事前に確定申告の知識をつけておくことがおすすめです。年金以外の収入が年間20万円以上ある人は、確定申告をしなければなりません。人によっては初めて確定申告の手続きをするケースもあるでしょう。
基本的な必要書類や申告書の書き方、便利なネットでの申告方法などを理解しておくと、スムーズに手続きを進められます。

まとめ

年金を受け取りつつ給与所得も得ることは可能ですが、両方の合計額が月額50万円を超える場合、年金の減額が発生する可能性がある点を理解しておくことが重要です。月収を50万円以下に保つことや、業務委託契約で働くなど、年金減額を回避するための方法はいくつかあります。自分が受け取る年金の正確な額を知り、自身に合った働き方を見つけることが大切です。



著者プロフィール

著者 古賀清香

2級FP技能士

広告代理店勤務を経て、フリーライターとして6年以上活動。自身の投資経験をきっかけにFP資格を取得。投資・金融・不動産・ビジネス関連の記事を多数執筆。現在はフリーランスの働き方・生き方に関する情報も発信中。

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