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ESG投資とは?
種類やメリット、始める方法を簡単にわかりやすく解説

2022/03/24

近年、注目されている投資にESG投資があります。これまでは、財務情報に基づいて投資の判断をするのが主流でした。ESG投資は財務情報に加えて、環境への配慮などの観点を取り入れた投資方法です。今回は、ESG投資の概要や種類、メリットなどについて説明します。

ESG投資が注目される理由

ESG投資が注目される理由

投資は時代によって、人気や主流となる考え方、方法が変わるものです。まずは、ESG投資の概要や注目されるようになった社会的背景を説明します。

ESG投資の概要

財務情報だけでなく、環境(Environment)と社会(Social)、ガバナンス(Governance)の視点を取り入れて判断するのがESG投資です。財務情報とは、売上や経費、予算、資金管理、資金調達(融資・株式発行)、余剰資金の運用について帳簿や財務諸表にまとめた資料を指します。企業の社会的責任や環境問題への対策を反映しにくいのが特徴です。企業が社会や消費者から支持され、長期的に安定して発展していくか評価するには財務情報だけでは不十分という見方があります。

ESG投資が拡大した社会的背景

2015年(平成27年)9月に、国連サミットで持続可能な開発目標(SDGs)が採択されました。これは2030年(令和12年)までに、持続可能でよりよい世界を目指す国際指標です。SDGsを達成するため、具体的に取り組むべき企業の課題がESGになります。短期的な利益追求のために生産活動をするより、環境や社会へ配慮しながら長期的に活動することが企業に求められているのです。日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、ESGの観点を投資に取り入れたことが注目を集めるキッカケとなりました。

ESG投資が期待される理由

2006年(平成18年)に発足した国連責任投資原則(PRI)によって、ESGを投資の判断に活用する動きが活発になりました。世界のさまざまな投資機関がPRIに署名し、ESGの視点が重要とされていく期待が高まっているのです。PRIへの署名機関の資産総額は100兆米ドルを超え、世界の株式市場に匹敵するほどの勢いがあります。ESG投資は投資家と企業の双方にとってメリットがあるため、今後さらに拡大していくと期待されています。

ESG投資の種類

ESG投資の種類

ESGの要素を考慮した投資には、さまざまな方法があります。ここからは、ESG投資の方法について説明します。

ネガティブスクリーニング

環境破壊や社会へ悪影響を及ぼす企業、業種を排除して、投資対象を選択する方法です。タバコやギャンブル、化石燃料を扱ったりCO2を大量に排出したりする業界を除外します。

ポジティブスクリーニング

環境や社会へよい影響を及ぼす企業、業種を選択する手法です。ダイバーシティに取り組んでいる企業、CO2削減を目指す業界を選んで投資します。

国際規範スクリーニング

ESGに関連する国際規範を基準に選択する方法です。国際連合の提唱している「国連グローバル・コンパクト」や、国際労働機関(ILO)の定める規範などが挙げられます。

ESGインテグレーション

財務情報とESGに関連する非財務情報を、組み合わせて選択する方法です。ESGの要素だけでなく、従来の投資家が重視する財務状況を反映できます。

サステナビリティ・テーマ投資

社会に対する持続可能性を重視している企業や、プロジェクトを選択する方法です。SDGsと深く関係するため、注目が高まっています。

インパクト・コミュニティ投資

ESGの取り組みが社会にもたらした好影響を数値化し、経済的な利益と社会への貢献の両方を重視する方法です。

企業エンゲージメント

株主となって、企業にESGの要素を取り入れるよう促すことを目的とする方法です。株主が議決権を行使したり、経営層と対話したりすることでESGへの取り組みを推進していきます。

ESG投資のメリット

ESG投資のメリット

投資家が利益を得ることだけでなく、さまざまなメリットがあります。

市場の拡大に期待できる

世界的にESGの取り組みへ投入する資金が増えているため、今後も市場拡大の期待が高いです。国連サミットによって採択されたSDGsでは、17の目標と169のターゲットの達成を目指しています。目標やターゲットが多岐に渡るため、企業がESGに取り組んでいく範囲が非常に広いです。世界で問題となっている環境破壊、貧困・飢餓・性差別などの解決には、5~7兆ドルの資金が必要と国連開発計画(UNDP)が試算しています。

長期運用でリスクを低減できる

ESG投資は企業の持続性や安定性を重視し長期間に渡る運用を目指すため、リスクが低減できます。企業が事業活動で短期的な成果を求めた結果、環境破壊や健康被害、貧困や差別などの社会的問題を生じさせて企業価値が下がるのです。ESGの観点では環境・社会・ガバナンスの要素を考慮するため長期の成果を目指すようになり、企業価値が上がることに期待できます。長期運用できてリスクをなるべく低減したい投資家にとっては、メリットが大きいです。企業にとっては、ESGを重視することで投資家が集まり資金調達につながるというメリットがあります。

持続可能な社会の実現へ貢献できる

企業が環境・社会問題の解決のため積極的に活動すると、投資家は間接的に持続可能な社会の実現に貢献していることになります。企業によって、社会貢献の形はさまざまです。環境面では森林破壊や海洋ゴミ、食品ロス、産業廃棄物の処理問題などがあり、ボランティア活動で貢献する企業も増えています。社会面では女性の社会進出の推進、育児や介護と職業の両立支援、ワークライフバランスのサポートなどです。ガバナンスの面では企業がステークホルダーの利益を最大化したり、経営の管理や監督などの構造を明確化したりする活動があります。

ESG投資を始める方法

ESG投資を始める方法

株式や債券、投資信託で投資するなどがESG投資の方法です。ここからは、ESG投資を始める方法を説明します。

株式で投資する

ESGの要素を重視する企業を自分で調べて、個別銘柄へ投資する方法です。個別銘柄への投資は経験が浅いと難しく感じますが、ESGの観点で評価する指数を参考にすると選びやすくなります。例えば、「FTSE Blossom Japan Index」は日本企業のESG総合評価を示す指数です。FTSE Russell社が独自に定めた指標を用いて、企業を評価しています。

債券で投資する

ESGに関連する債券は、グリーンボンド、ソーシャルボンド、サステナビリティボンドなどです。近年は、日本国内の大手企業によって発行される債券が増加しています。債券の発行で調達した資金は使途の限定やレポーティングの義務化があるため、社会貢献につながっていることを実感しやすいです。

投資信託・ETFで投資する

ESGを重視する企業を中心に構成したファンドを選ぶことで、投資します。投資信託ではCAM ESG日本株ファンド、グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド、グローバルESGバランスファンドなどです。ETFは上場投資信託と呼ばれ、証券取引所に上場している投資信託を指します。銘柄は、アセットマネジメントOneの1498 One ETF ESGなどです。

まとめ

ESG投資は今後さらに注目されながら、市場規模が拡大していく可能性が高いです。ESGの視点を持って企業や投資先を選べば、投資家としての利益を出しながら世界をよりよくしていくことに貢献できます。ポートフォリオの一部にESG投資の選択肢を持つと、より投資の幅が広がるでしょう。

著者プロフィール

岩崎 祐二

FP技能士2級、AFP(日本FP協会)

ライフとキャリアを総合した視点で、人生設計をマンツーマンでサポート。日々の家計管理から、数十年先に向けた資産設計まで実行支援しています。

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