2023年(令和5年)
いつまで円安?今後の見通しや影響などを徹底解説
2023年(令和5年)になってからも、円安が続いている状況です。最近の物価上昇には円安の影響もあるため、気になっている方も多いのではないでしょうか?本記事では、円安がいつまで続くのかについて説明します。今後の見通しや生活への影響を知っておきましょう。
まだ続いている円安。原因はそもそも何?
為替相場(為替レート)とは、円と外国の通貨とを交換する際の比率です。我々の生活に大きな影響を及ぼす為替相場ですが、最近為替市場では円安ドル高の状態がいつまでも続いています。まずは、円安のそもそもの原因は何か確認しておきましょう。
円安が始まった時期
現在続いている円安は、2022年(令和4年)3月中旬頃から始まりました。3月上旬まで1ドル115円前後で推移していた為替相場が、円安方向に大きく動いたのです。4月下旬には約20年ぶりに、1ドル131円台となりました。
円安はその後も進み、10月には一時1ドル152円近くまで上がりました。その後多少円高方向に戻したものの、2022年(令和4年)年末時点でも130円台で、円安の状況は変わりませんでした。
2023年(令和5年)前半も円安はおさまらず
2023年(令和5年)に入ってからも、円安は続いています。1月には一時1ドル127円台と円高に動きましたが、その後は再び円安が進んでいる状況です。5月末には1ドル140円台となり、それ以降ほぼ1ドル140円台で推移しています。
円安の主な原因
円安が進んでいる主な原因は、日本とアメリカの金利差です。日米両国とも、長らく金融緩和政策をとってきました。しかし、アメリカは2022年(令和4年)3月、金融引き締めに転換しました。日米の金利差が開いたことにより、投資家の間で円を売ってドルを買う動きが強まったのです。
金融緩和とは
政策金利の引き下げや資産の買い上げによって、資金供給量を増やす政策です。景気が悪化した際には、国は金融緩和により経済活動の活発化を図ります。
金融引き締めとは
景気の過熱や物価上昇を抑えたい場合には、金融引き締め策がとられます。金融引き締めとは、政策金利を引き上げ、資金供給量を減らす政策です。金融引き締めを行えば、お金が借りにくくなり、経済活動が抑制されます。
2023年(令和5年)後半の為替相場の見通しは?
円安と言われるようになって1年以上経過しましたが、当初と比べてさらに円安が進んでいる状況です。この円安はいつまで続くのでしょうか?2023年(令和5年)後半の為替市場の動向や今後の見通しについて解説します。
2023年(令和5年)8月は一時1ドル147円台に
今年後半に入ってからも、円安はおさまっていません。8月には1ドル145円前後となり、一時は147円台に到達しました。9月に入ってからも、同水準の為替相場が続いています。
円安がいつまで続くかの予想は難しい
今後の為替相場の見通しについては、専門家をはじめいろいろな人が見解を述べています。相場に影響を及ぼす要因は、経済理論や統計、政治、経済など多岐にわたります。ただし、それだけで推移を予測できるわけではありません。
為替相場は、市場に参加している多くの人の期待によっても変動します。いわば人々の予想の集合体のようなものなので、為替相場の推移を予想するのは難しいのです。
また、円安が続いている状況下でも、個別的な要因で円高に振れることもあります。今後の見通しを知るには、個別的な要因に惑わされるよりも、円安の大きな流れがいつまで続くかに注目しておくべきでしょう。
来年春頃まで円安が続く可能性も
そもそも現在の円安の主な原因は、アメリカが行っている金融引き締め政策です。為替相場の大きな流れを見きわめるには、アメリカの金融政策に注意しておく必要があります。
アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)は、2022(令和4年)3月以降、毎会合利上げを実施してきました。2023年(令和5年)6月には利上げを見送りましたが、7月には利上げを再開しています。アメリカの利上げがいつまで続くのかで、為替相場の動向は変わるでしょう。
アメリカの利上げはいつまで続く?
FRBの利下げは2024年以降になるとも言われています。早くても、2024年春頃までは円安が続く可能性があります。今後の情報に注意しておきましょう。
円安による影響と今後の対策
円安はまだしばらく続く可能性が高くなっています。円安により我々の生活がどのような影響を受けるかを知っておき、できる対策をしておきましょう。
円安で輸入物価が上昇
円安の環境では、海外から輸入する物の値段が上がります。日本はエネルギーや食材など、多くのものを輸入に頼っています。円安で輸入コストが上昇すれば、企業は製品価格を値上げせざるを得ません。つまり、日本では円安になると物価が上昇しやすくなります。
家計の見直しや資産運用で対策
物価上昇への対策としては、家計の見直しが重要です。まずは通信費や保険料などの固定費の中に、削減できるものはないか考えてみましょう。
物価上昇が続いてインフレになれば、お金の価値が下がります。預貯金は目減りしてしまうため、投資信託などインフレに強い金融商品でも運用することを考えましょう。
輸出企業は競争力が上がるメリットも
円安は輸入企業にとってはデメリットになりますが、輸出企業にとってはメリットになります。海外企業は円安の環境下で日本製品を安く輸入でき、日本製品の競争力が上がるからです。
たとえば、海外企業が日本から280万円の車を輸入すると仮定してみましょう。1ドル100円のときに輸入すれば2万8000ドル必要です。しかし、1ドル140円と円安になったときに輸入すれば、2万ドルしかかからないことになります。
円安時に資産を守る方法
円安になると円の価値が下がるため、円建てで保有している預貯金は目減りしてしまいます。一方、外貨預金の場合には、為替差益が得られます。1ドル110円のときにドルに換えて預け入れ、1ドル140円のときに円にして引き出せば、1ドルあたり30円お金が増えます。
円安が続く状況に備えて、外貨建ての資産を保有しておくのも1つの方法です。外貨建ての金融商品の中で初心者にもおすすめなのが、外貨預金です。外貨預金は、国内の銀行でも取り扱われています。
分散投資がおすすめ
為替相場は想定どおり動くとは限りません。財産を外貨建て資産に多く入れすぎてしまうと、円高になったときに損失が出る可能性があります。資産運用するなら、リスクに対応できるよう、異なるタイプの商品に分散投資するとよいでしょう。
まとめ
円安は少なくとも2023年いっぱいは続く可能性が高くなっています。アメリカの金融政策など、為替相場に影響を与える情報に注意しておきましょう。円安は個人の資産にも影響を与えます。いつまでも続く円安から資産を守れるように、金融商品への投資も検討してみるのがおすすめです。
大学卒業後、複数の法律事務所に勤務。30代で結婚、出産した後、5年間の専業主婦経験を経て仕事復帰。現在はAFP、行政書士、夫婦カウンセラーとして活動中。夫婦問題に悩む幅広い世代の男女にカウンセリングを行っており、離婚を考える人には手続きのサポート、生活設計や子育てについてのアドバイス、自分らしい生き方を見つけるコーチングを行っている。