【インフレ対策】備えてますか?
物価上昇から資産を守る方法をわかりやすく解説

モノやサービスの価格が上昇すると日常生活だけでなく、将来に向けて準備している資産にも影響が生じます。生活費が上昇する、老後に備えた資産の価値が下がるなど、短期から長期にかけての問題に対する備えが大切です。この記事では、インフレへの対策や資産を守る方法について解説します。
インフレとは物価上昇のこと

モノやサービスの価格が持続的に上昇する現象を、インフレといいます。物価の状況を示す消費者物価指数がプラスになっていると、インフレです。
ここでは、インフレが起きる原因や為替との関係、資産価値にどのような影響を与えるかについて説明します。
インフレの原因
経済に好循環が起きていると、物価が持続的に上昇しやすいです。好景気になると給料が上がり、消費者の購買意欲が高まって需要が増えます。需要が増えると価格を上げても購入されるため、企業の利益が増えるのです。
企業は供給量と売上を増やすことや生産性を高めるのを目的に、設備や人に投資します。その結果、仕事が増えたり給料が上がったりして経済の好循環が起きるのです。この一連の流れが繰り返し起きることで、物価が上昇していきます。
インフレと円相場の傾向
好景気以外で考えられる物価上昇の原因は、円相場の影響です。1ドルのオレンジジュースが100円で買えたとして、1年後に円安で1ドル=120円になると、20円の値上がりになります。輸入している商品は円相場の変動によって原材料や輸送費が高くなり、価格に上乗せされて物価上昇につながるのです。
また、1ドル=100円の相場が変わらなかったとしてもアメリカ内で物価が上がると、輸入する商品の価格が上昇します。1ドルだったオレンジジュースが1.2ドルになると、輸入した際に120円となり物価上昇が起きるのです。
インフレで資産価値が下がる
物価が上昇すると円の価値が実質的に目減りするため、保有している資産の価値が下がります。10年後にインフレで物価が2倍になっていると仮定すると、現在の100万円は50万円の価値に下がるのです。現金や銀行預金などで保有している資産は、インフレの影響で価値が下がってしまいます。
インフレによる物価上昇率より銀行預金の利率が高ければ資産価値は下がりませんが、現在は相当低いため厳しい状況です。
インフレで家計が圧迫される
食品や日用消耗品の価格が上昇すると、日々の生活費が増えて家計が圧迫されます。物価の上昇と同時に給料が上がっていれば影響は小さいですが、タイミングはズレることの方が多いです。
インフレによる資産価値の低下に備えて資産形成に充てる金額を上げると、生活に使える分が減ってしまいます。生活に必要な支出は節約しても限界があるため、すぐ対応できずに家計が圧迫されやすいのです。
インフレに有効な資産運用

資産価値の低下や家計の圧迫を回避するためには、インフレの影響を受けにくい資産を持っておくことが大切です。ここからは、インフレに有効な資産運用について説明します。
外貨預金
インフレや円相場の変動で現金の価値が下がるため、外貨預金として資産を持つことが有効です。
たとえば、1ドル=100円が10年後に円安で110円になるとします。100万円を円預金だけで持っていると、10年後も100万円のままです。円とドルで50万円ずつ預金すると、10年後には円預金50万円とドル預金55万円で、合計105万円となります。
この10年間の物価上昇率が5%だった場合は、外貨預金によってインフレの影響を回避できたことになるのです。
株式投資
インフレの状況では企業の業績がよくなるため、株式投資が有効です。ただし、インフレによって業績がよくなる業界や企業を見極めることが必要になります。個別株での投資はハイリスクハイリターンになるため、慎重に判断することが大切です。
投資信託などの金融商品
個人で銘柄を選んで投資するのが難しい場合は、プロが代わりに運用してくれる投資信託などの金融商品が有効です。投資信託は投資家から資金を集めて、専門家が運用します。商品はローリスクローリターンなものからハイリスクハイリターンなものまで用意されていて、選択肢が多いです。
不動産投資
インフレや円相場の影響を受けにくいため、不動産投資は有効です。不動産の価値は土地と建物、どの程度需要があるかによって決まります。物価が上昇すると土地の価格も上がる傾向にあり、住居は生活に必須なため需要は下がりにくいです。
不動産投資には、数100万~数1000万円という高額な資金の準備が必要で、手続きや税制の知識が求められます。仲介業者に任せるだけではなく、自分でも適切な判断ができるよう勉強してから取り組むと安心です。
金などの貴金属への投資
インフレは貨幣価値の変動に影響しますが、金などの貴金属の価値は保たれやすいです。物価が上昇すると金の需要が増加して価格が高騰し、資産の実質的な目減りに備えられます。
インフレに備える方法

資産運用にはさまざまな方法があるため、必要に応じて選択することが大切です。ここからはインフレに備える方法について、資産運用と家庭でできる対策に分けて説明します。
インフレに強い資産で分散して持つ
1種類に限定するとリスクが高くなるため、インフレに強い資産で分散して持つことが備える方法です。1つの資産が落ちていてもその他が上がっていれば、全体的には守られる可能性が高くなります。
円預金を全額ドル預金に替えると、ドルの価値が下がったときに資産が全て目減りしてしまうのです。外貨預金が有効だとしても、経済の状況によっては効果を発揮できない可能性があります。
家庭でできる対策
資産運用は長期的にインフレに備える方法ですが、日常生活において家庭でできる対策もあります。
電気代
インフレによって電気代が高くなると家計への影響が大きくなるため、節電する方法を知っていると効果的です。
広い居間に1人で過ごすときに空調を使うと、必要以上に電力を消費します。そのため、1人で広い部屋を使うときは、なるべくエアコンを使わずに調整する工夫が効果的です。冬場は重ね着や毛布、夏場は扇風機や冷感素材の部屋着を活用しましょう。エアコンのフィルターを掃除したり、室外機に日陰を作って風通しをよくしたりなども効果的です。
ガソリン代
普段から車を使う場合は、近距離の移動では自転車などを利用するとガソリン代を節約できます。また、家族での遠出や送り迎えなど、可能な限り複数人での乗車にすると効率的です。
食費
食材や調味料はインフレで価格が上がりやすいものを避けて、変動が小さいものを選ぶと食費が抑えやすいです。円相場が影響するインフレの場合は、輸入品と国産品での価格の違いを把握しておくと対処しやすくなります。
耐久消費財
冷蔵庫や洗濯機などの大型家電や自動車のような耐久消費財は金額が大きいため、インフレで出費が増える原因になります。インフレの状況では買い替えを控えるか、中古で購入することが対策です。
電子機器
PCやスマートフォンなどの電子機器はインフレで値上がりしやすいため、中古品やリースなどで対応する方法が効果的です。最近はサブスクリプション型のサービスが豊富なため、購入以外の選択肢でも対策できます。
まとめ
インフレの対策には短期的な出費を抑えること、長期的に資産を守ることなど、さまざまな方法があります。投資や節約の方法について情報収集しながら、経済状況や世界情勢にも目を向けて備えることが大切です。インフレへの対策を検討する際の参考にしてみてください。

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