20~30代の貯蓄や投資事情は?
【初心者向け】おすすめなポートフォリオの作り方とは?
20~30代の多くの人が手取りの10~15%を貯蓄や投資に使っています。リスクを抑えながら安定した資産運用を行うには、適切な「ポートフォリオ」の作成が欠かせません。ポートフォリオとは、どのようなものなのでしょうか。その考え方と、自分にあったポートフォリオの作り方の実例を交えながら解説します。
【20~30代】毎月どのくらい貯蓄や投資をしている?
金融広報中央委員会が実施した調査では、20~30代の多くの人が「手取り収入の10〜15%を貯蓄している」と公表されています。
手取り収入(臨時収入を含む)からの貯蓄割合(金融資産保有世帯) | ||||
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手取りに占める貯蓄割合 | 20代 | 30代 | ||
単身世帯 (n=367) |
2人以上世帯 (n=21) |
単身世帯 (n=302) |
2人以上世帯 (n=212) |
|
5%未満 | 7.1% | 4.8% | 7.9% | 7.5% |
5~10% | 12.3% | 19.0% | 12.6% | 11.8% |
10~15% | 14.4% | 28.6% | 17.2% | 29.7% |
15~20% | 3.3% | 4.8% | 4.6% | 10.4% |
20~25% | 10.4% | 23.8% | 10.9% | 12.7% |
25~30% | 3.5% | 0.0% | 1.3% | 2.8% |
30~35% | 9.5% | 0.0% | 8.6% | 5.2% |
35%以上 | 17.2% | 4.8% | 14.2% | 4.2% |
貯蓄しなかった | 22.3% | 4.8% | 22.5% | 9.0% |
無回答 | 0.0% | 9.5% | 0.0% | 6.6% |
平均 | 18% | 13% | 16% | 13% |
出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査・2020年(令和2年)」(単身世帯調査/二人以上世帯調査)より筆者作成
例えば手取り年収350万円(額面年収約450万円)の人が、その15%を貯蓄または投資する場合、その金額は年間で52万5,000円、1ヵ月では4万3,750円です。
独身者では全く貯蓄していない人も2割超
独身者(単身世帯)は、貯蓄ができている人とできていない人の差が大きくなっています。手取り収入の30%以上を貯蓄している人と、全く貯蓄していない人がそれぞれ2割を超えており、この差は将来資産額の差となって現れてきます。
人によって収入や家計の状況は異なりますが、まずは無理のない金額から貯蓄や投資を始め、続けることが大切です。
ポートフォリオとは?
中長期的に資産運用を行ううえでは、なるべくリスクを抑えながら期待するリターンを目指したいものです。そのためには運用目的や運用期間、リスク許容度に応じた「ポートフォリオ」と「アセットアロケーション(資産配分)」の作成がポイントです。
具体的にどんな金融商品を組み合わせて投資するか(ポートフォリオ)
「ポートフォリオ」とは、具体的な金融商品の組み合わせのことです。投資を行う際には、「アセットアロケーション」を基に、投資する商品や金額の組み合わせや数量を検討します。これが「ポートフォリオを組む」という作業です。ポートフォリオは必ずしも必要ではないものの、作成することでリスク軽減効果がより高まります。
運用資金をどの資産にどんな割合で配分するか(アセットアロケーション)
「アセットアロケーション(資産配分)」とは、運用資金をどの資産にどんな割合で投資するかを決めること、またその配分割合をいいます。
また投資におけるリスクとは、投資対象の値動きやリターン(収益)の「不確実性」をいいます。リスクとリターンは表裏一体の関係にあり、大きな利益を期待できる商品は、それだけ大きな損失が出る危険も高い傾向があります。
分散投資によるリスクの軽減・調整が目的
アセットアロケーションの目的は国内外の株式、債券、不動産など、値動きやリターンの異なる複数の資産クラスに分散投資をしてリスクを軽減し、リターンを安定させることです。
例えば逆の値動きをする傾向のある株式と債券に分散投資をすれば、リスクの軽減を狙えます。株価が下がっている時には債券価格が上がる、というようにそれぞれが補完し合うことで運用資産全体の値動きが安定するのです。
またどのような資産配分にするかによって、運用資産全体のリスクとリターンを調整できます。
自分に最適な資産を選んでポートフォリオを作成しよう
中長期的な資産運用を行う場合、運用資産の少ない個人投資家や投資初心者にとってもポートフォリオの作成は有効です。
では、どんなポートフォリオを作成すればいいのでしょうか。ここではリスク許容度の異なる4つのポートフォリオを例として紹介します。
運用は当面使う予定のない余裕資金で行い、生活資金や使い道の決まっている資金などは別途確保していることを前提としています。
リスク許容度に応じたポートフォリオの例
(1)なるべくリスクを抑えて運用したい人向け
ローリスク・ローリターンの国内債券の割合を高くし、ポートフォリオ全体のリスクを抑えながら、先進国債券、国内株式、先進国株式でリターンを狙うポートフォリオです。
(2)ある程度のリターンを狙いたい人向け
株式やREIT(不動産投資信託)の比率を高め、リターンを狙うポートフォリオです。
(3)積極的にリターンを狙いたい人向け
先進国株式を中心に国内株式や新興国株式を組み合わせ、積極的にリターンを狙うポートフォリオです。
(4)複数の資産クラスに分散投資したい人向け
国内外の債券、株式、REITに均等に幅広く分散投資することで、極端な価格変動を抑え、安定したリターンを狙うポートフォリオです。
運用期間・年齢によるリスク許容度の目安
リスク許容度は一般的に、運用期間が長く年齢が若いほど高くなります。そのため、運用期間や年齢によってもポートフォリオは変化します。
株式への配分比率の目安は「(100−年齢)%」
株式と債券を組み合わせてポートフォリオを作成する場合、株式への配分比率は「(100−年齢)%」がおおよその目安とされます。
例えば現在30歳の人であれば、70%(=100−30)を株式に、残り30%を債券に配分するといった具合です。株式と債券を国内資産と外国資産に分散してポートフォリオを作成すると、次のようになります。
インデックスファンドを活用する
自分で分析を行い、投資する銘柄を個別に選ぶのも投資の醍醐味です。一方で、どの銘柄に投資したらいいか分からない人や、投資にあまり時間をかけられない人もいます。そのような人には、国内株式や先進国債券など、各資産クラスの銘柄に幅広く分散投資を行うインデックスファンドの利用がおすすめです。
インデックスファンドには、効率よく効果的な分散投資が可能になるメリットがあります。
定期的に資産配分のズレを調整する(リバランス)
金融商品の価格は常に変動しており、時間が経つと当初の資産配分からズレが生じてしまいます。運用資産全体のリスクを適切にコントロールするには、定期的に資産配分の調整(リバランス)を行い、ズレを修正する必要があります。
資産配分自体の見直しを検討する(リアロケーション)
時間が経てば運用環境や運用目的、リスク許容度も変化します。そのため、リバランスだけでなく、資産配分自体の見直し(リアロケーション)も必要です。GPIFの場合は5年に1度、基本ポートフォリオが見直されています。
運用目的・期間ごとにポートフォリオを作成してもよい
老後資金と教育資金など、資産運用の目的や期間によって許容できるリスクは変わります。比較的運用期間が短い教育資金はリスクを抑え堅実な運用を行うなど、資金を目的ごとに分けるのも効果的です。リスク許容度に応じて複数のポートフォリオを作成してみましょう。
まとめ
ポートフォリオに基づいた長期的な運用を行えば、運用リスクはある程度コントロールできます。今回紹介した例も参考に、運用目的やリスク許容度にあったポートフォリオを作成してみてください。ポートフォリオを上手く活用し、リスクを抑えながら効率よく資産を増やしていきましょう。自分でポートフォリオを作成するのが難しい場合は、「バランス型ファンド」、「アロケーション型のファンド」の活用や銀行などの金融機関に相談してみるのも良いでしょう。
証券会社・生損保代理店での勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。お金に関するコンサルティング業務や執筆業務などを行う。ミニマリズムとマネープランニングを融合したシンプルで豊かな暮らしを提案している。