資産運用ポートフォリオの作り方は?
投資初心者にもわかりやすく解説

資産運用ポートフォリオは、投資におけるリスクを適切に管理しながら、安定的なリターンを目指すための重要な戦略です。初心者の方でも実践できる資産運用ポートフォリオの基本から、具体的な作り方まで、わかりやすく解説していきます。
資産運用ポートフォリオとは

適切なポートフォリオの構築は、長期的な資産形成の成功に不可欠な要素です。投資を始めるにあたって、まずは資産運用ポートフォリオの基本的な考え方について理解しましょう。
ポートフォリオの基本と重要性
資産運用ポートフォリオとは、複数の投資対象を組み合わせて運用する手法のことを指します。株式や債券、不動産投資信託(REIT)など、さまざまな資産を適切に組み合わせることで、投資リスクを抑えながら、安定的なリターンを目指すことができます。
ポートフォリオ運用の核となる考え方が分散投資です。分散投資とは、異なる値動きをする資産を組み合わせることで、ある資産の下落を他の資産の上昇で補うことができ、結果として投資全体のリスクを軽減する手法です。
たとえば、日本株式と米国株式を組み合わせれば、一方の国の経済が低迷している時期でも、もう一方の国の好調な経済によって補完することができます。また、株式と債券を組み合わせることで、景気後退時には債券価格の上昇が株式の下落を緩和する効果を期待できます。
このように、異なる特性を持つ資産を組み合わせることで、資産全体のリスクを抑制できます。
ポートフォリオ運用のメリット
適切な資産運用ポートフォリオを構築することで、次のようなメリットを得られます。
- リスクとリターンの最適なバランスを実現できる
- 市場環境の変化に対する耐性を高められる
- 長期的に安定した資産形成を目指せる
これらのメリットは、投資家が市場の変動に振り回されることなく、自身の目標達成に向けた資産形成が可能です。特に分散投資によって、個別の資産クラスが持つリスクを軽減できることは、投資初心者にとって大きな利点となります。
初心者のためのポートフォリオの作り方

投資初心者の方でも実践できる、基本的なポートフォリオの組み方について具体的に解説していきます。まずは自身の投資目的やリスク許容度を明確にすることから始めましょう。
基本的な資産配分の考え方
ポートフォリオにおける資産配分は、投資の成功を左右する重要な要素です。基本的な配分方法として、次のような点に注意を払う必要があります。
- 国内外の株式と債券のバランスを考える
- リスク資産と安定資産の保有比率を調整する
- 各資産クラスの特性を理解する
たとえば、30代の投資初心者であれば、株式60%、債券40%という配分を検討するケースが多いです。投資目標を老後資金とした場合、30代であれば定年まで十分な投資期間を確保でき、現役世代として給与収入があるため、万が一の損失にも対応できる状況であるためです。ただし、これはあくまでも目安であり、個人の状況に応じて調整が必要です。
リスク許容度に応じた組み方
年齢や投資目的、余剰資金の額によって、適切な資産配分は変わってきます。一般的に、若い投資家ほどリスクを取れる傾向にあり、年齢が上がるにつれて安定性を重視した配分にシフトしていくことが推奨されます。
投資期間が長期になればなるほど、株式などのリスク資産の比率を高めることができます。これは、長期保有によって短期的な値動きのリスクを軽減できるためです。
リスク許容度の確認とポートフォリオの構築方法
自分自身のリスク許容度を判定するのは難しいと思う方も多いでしょう。しかし、インターネット上では、証券会社を中心に、さまざまなリスク許容度判定ツールを提供しています。いくつかの質問に回答するだけでリスク許容度がわかるため、参考にするといいでしょう。
また、ポートフォリオを構築してくれるツールもあります。リスク許容度が明確になればポートフォリオ構築ツールを活用しやすくなるため、あわせて確認してみてください。
最近では、証券会社はロボアドバイザーなどの自動投資サービスを提供しています。リスク許容度に応じて最適なポートフォリオを自動で提案・運用してくれます。自動投資サービスであれば一時的な動きに左右されることなく長期的な視点で運用でき、ポートフォリオの現状把握や見直しに集中できます。
ポートフォリオの運用と見直し

作成したポートフォリオは、定期的な見直しと調整が必要です。市場環境の変化や個人の状況に応じて、適切な運用を継続していくことが重要です。ここからは、見直しの重要性とポイントについて解説します。
定期的な見直しの重要性
自分に適したリスク許容度をもとにポートフォリオを構築したとしても、時間の経過とともに変化してしまいます。
たとえば、株式60%、債券40%のポートフォリオの運用において株式運用が良好な場合、ポートフォリオは株式80%、債券20%のように変動するケースもあります。そうなると、ポートフォリオ全体のリスクが高くなってしまうのです。この場合、株式の20%分を売却したり、債券を買い足したりして、組み合わせ比率を元に戻す必要があります。この方法を、リバランスといいます。
特に、市場の変動によって当初の配分比率から外れた場合は、定期的なリバランスを行うことで、リスク管理を適切に行うことができます。リバランスは、半年に1回や1年に1回など、定期的なタイミングで実施し、配分比率が大きく崩れた場合は、その都度検討するようにしましょう。
長期運用のポイント
最後に長期的運用をするにあたり、3つのポイントを紹介します。
- 短期的な市場変動に一喜一憂しない
- 毎月など、定期的な投資を継続する
- 運用目標に対する進捗を確認する
市場の急激な変動時こそ、冷静な判断が求められます。長期的な視点を持ち、投資方針を堅持することが、安定的な資産形成につながります。毎月一定額の資金を無理のない範囲で投資して短期的な利益を追求してしまうとリスクは高くなる点に注意しつつ、最初に決めた投資スタイルを継続するように心がけましょう。
まとめ
資産運用ポートフォリオは、投資の成功に不可欠な要素です。初心者の場合、まずは基本的な資産配分から始め、徐々に自身の状況に合わせた調整を行っていくことをおすすめします。
定期的な見直しと適切なリバランスを行うことで、長期的な資産形成の成功確率を高めることができます。重要なのは、自身の投資目的とリスク許容度に合わせた運用を継続することです。

2006年2月にファイナンシャルプランナー(FP)として独立、個人相談をはじめ、カルチャーセンター講師やFP資格講師・教材作成、サイト運営・執筆など、FPに関する業務に携わり15年以上経つ。商品販売をしない中立公正な立場で、相談者の夢や希望をお伺いし、ライフプランをもとにした住宅ローンや保険などの選び方や家計の見直しを得意とする。執筆でも、わかりやすく伝えることはもちろん、情報を精査し、消費者・生活者側の目線で書くことにこだわる。