ブラック企業の見分け方3選!
就職する前に特徴や注意すべきポイントを要チェック

ブラック企業とはコンプライアンス意識が低く、極端な長時間労働やノルマを課して過度な労働者選別を行う会社のことです。どんなに気をつけて企業選びをしても、さまざまな手法でブラック企業の実態が隠されることもあるため注意が必要です。この記事では、ブラック企業の見分け方と就活時の対策について解説します。
ブラック企業とは?特徴と見分け方を知ろう

ブラック企業には、明確な定義がありません。ですが、「理不尽な労働環境で無理な働き方を強要される会社」というイメージが一般的です。
この項目では、ブラック企業の特徴や見分け方の一例について解説します。
ブラック企業の特徴
国民の労働環境の法整備や監督をしている厚生労働省では、ブラック企業の大きな特徴として次の3項目を挙げています。
参照:厚生労働省「ブラック企業ってどんな会社なの?」
労働者に極端な長時間労働・ノルマを課す
企業は、労働基準法で定められた範囲内で労働時間を設定しなければなりません。時間外や休日労働については「時間外労使協定」が必要になるなど、労働者は法律でしっかりと守られています。
心身に大きな負担となるほどの労働時間やノルマは、従業員と企業間で相談して基準を再設定する必要があります。その機会が得られない会社は、ブラック企業といえるでしょう。
参照:厚生労働省「労働時間・休日」
コンプライアンスに対する意識が低い
以下のような法律に基づいた事業運営が行われていない企業も、ブラック企業とみなされます。
・賃金の不払い
・過度な残業
・パワーハラスメントの横行 など
労働者の選別を過度に行う
労働環境に耐えられず退職を希望しても、認めないブラック企業もあります。
逆に従業員を退職させるため、あえて過酷な状況下に追い込む職場もブラック企業の特徴です。
ブラック企業の見分け方
実際に働いてみないと分からないことも多いですが、事前にブラック企業を見分けられるポイントはいくつかあります。入社後に「こんなはずではなかった」と後悔しないよう、次の項目をしっかり確認しましょう。
頻繁に求人情報を出している
離職率が高かったり大量に退職者が出ることを想定していたりする場合、求人情報を長期間もしくは頻繁に出しています。このような会社は、ブラック企業の可能性があるでしょう。
労働環境が悪い、人材育成をしない、退職されて当然という考えの企業は、常に人材を求めています。通常、採用プロセスにおいては、3ヶ月弱ほどあれば採用する人材が決まります。あまりにも頻繁に、または長期的に求人情報が出ている企業には注意しましょう。
同業他社と比べて条件が非常に良い・悪い
賃金が同業他社と比較して好条件すぎる会社は、入社後に極端なノルマや時間外労働を強いられる可能性があります。
労働時間が短めなケースや、賃金が安い会社にも注意しましょう。実際は長時間勤務だったり賃金に見合わない労働環境だったりと、提示された条件の裏に過酷な実態が隠されていることがあります。
口コミの評価が良くない
就職・転職に関するWebサイトや雑誌などに掲載されている口コミも、ブラック企業を見分けるのに役立ちます。評価の悪い口コミが多い会社は、避けましょう。
悪い評価が見当たらなくても違和感があるなら、その会社は辞めておくのが無難です。高評価が並んでいても、好ましい労働環境の条件はひとりひとり異なります。高い目標設定で精神的に鍛えられた」などの好意的な口コミも、人によっては「無理なノルマを強制された」と感じます。
ブラック企業対策!就活・転職時の注意ポイント

ここからは、会社選びで意識したいポイントを紹介します。以下に挙げるポイントを押さえれば、ブラック企業回避にもつながるでしょう。
理想の仕事スタイルをイメージしよう
働き方が多様化する中、仕事に求める条件をできるだけ明確にしておくことで会社選びの失敗を防げます。
人生において「仕事」に求めるものは何か
自分にとって仕事とは何か、仕事を通じてどんな自分になりたいのかなど、「自分と仕事」について考えてみましょう。
たくさんお金を稼ぎたかったり自己実現につながる仕事がしたかったりと、仕事で得たいものにより選ぶべき会社も変わります。目的に合わない会社へ入ってしまうと、自分の理想と仕事内容にズレが生じます。その結果、たとえ入社した会社がブラック企業でなくても「ブラックな職場だな」と感じてしまう可能性があるのです。
どんな働き方をしたいか
年収、労働時間や日数、福利厚生、勤務地など、働くにあたって希望する条件を具体化しましょう。「こんなはずではなかった」を防ぐのはもちろん、企業選びがよりスムーズになります。
採用されたいがあまり自分の希望条件の多くを諦めて入社すると、後々つらくなります。労働環境と自分の希望との間にズレが生じ、「自分にとってブラックな職場」となってしまうでしょう。
求人情報は隅々までチェックしよう
求人情報は、ブラック企業を避けるために必要なデータが詰まっています。特に勤務時間や給与、福利厚生については全て目を通しましょう。
勤務時間
どんなに忙しい職場でも、働いた時間分の給与がきちんと支給されれば納得できる人は多いでしょう。ただ、業種やワークスタイルによっては労働時間だけでは成果を測れません。その場合、企業は「裁量労働制」「みなし残業」の制度を導入することがあります。
・裁量労働制:労働時間をあらかじめ一定に決めておくもの
・みなし残業:実際の残業時間に関わらず、一定の残業代があらかじめ給与に加算されるもの
労働実態に即した条件であれば心配はありませんが、以下の問題が生じる可能性があります。
・毎日3時間くらい残業しているが、裁量労働制だから給与は増えない
・みなし残業制の会社だから、時間外労働が規定より多いけど給与は変わらない
給与
業績給を含んだ給与を記載している求人情報にも、注意しましょう。ノルマ設定によっては、業績給アップが期待できない可能性もあります。
実際の残業時間に見合わない条件になっていないか、ノルマや業績給の実態について丁寧に確認しましょう。
福利厚生
以下のような福利厚生の条件も、チェックしましょう。
・年間休日が105日以上
・年休・有休や育休産休を申請しやすい
・社会保険制度完備 など
福利厚生をアピールポイントのひとつとしている企業も増えており、求人情報に実例が掲載されていることもあります。
面接で疑問点や不安をしっかり解消しよう
企業説明会や採用面接は、その会社で働いている人から直接情報を得られるチャンスです。とりわけ次のポイントは見落とさないようにしましょう。
求人情報に書かれた抽象的な表現・データを確認
一見、熱い思いを伝える仕事内容であっても、その裏にブラック企業の実態を隠していることがあります。「さらなる高みへ」「自分らしい働き方」「自己成長ができる」など耳触りの良いフレーズについて、具体例を質問してみましょう。
特に、精神論が多く語られている場合は要注意です。入社後、何かにつけて「気持ちの問題だ」と片付けられてしまっては、働くのがしんどくなってしまいます。
契約書類の内容を理解する
雇用契約書をはじめ入社前の契約書類にはよく目を通し、以下の内容を必ず理解してから契約を締結しましょう。
・労働期間
・就業場所
・業務内容
・労働時間
・休日・休暇制度
・給与
・退職時の手続き方法
・社会保険・退職金の規定
少しでも不安や疑問点があれば、その場で担当者に確認します。それでも解消されない場合は、公的機関の相談窓口に問い合わせましょう。
参照:厚生労働省「相談機関のご紹介」
まとめ
厚生労働省では、定期的に「労働基準関係法令違反に係る公表事案」を公表しています。これは、労働基準法などの法律に違反した企業の名前と違反内容をまとめたものです。気になる方は、就職や転職活動を行う際に調べてみてはいかがでしょうか。
ブラックな職場を避けるためにも自分が希望する働き方を見定め、さまざまな角度から情報を精査しましょう。

大手証券会社、銀行の個人営業職を経験した後、26歳で独立系ファイナンシャルプランナーとして独立。個人を対象に相談業務やセミナー・講演会の講師業、各種メディアへ出演し情報提供を行う。現在はFPの知識を活かした執筆活動を中心に活動している。