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産休手当っていつ入るの?
受け取れる支給金額や期間、申請の方法について

2022/07/21

産休中の女性は、給与の代わりに出産手当金を受け取れます。出産手当金は産休中の生活費や出産にかかる支出のために、できるだけ早く受け取りたいところです。この記事では、出産手当金の受給条件や受給期間、手続きなどを解説します。

出産手当金が支給される条件とは?

出産手当金が支給される条件とは?

出産手当金は産休中に勤務先から給与を受けられない女性に対し、健康保険から支払われる給付金です。ここでは、出産手当金が受け取れる人の条件を解説します。

出産手当金は産休中の収入を保障するもの

会社などで働く女性は、産前に6週間、産後に8週間の休暇を取る権利が認められています(労働基準法第65条)。しかし、事業主は働いていない従業員に対し給与を支払う義務がないため、多くの事業所では産休中の女性に給与を支払いません。出産手当金は産休中に収入が減少する女性に対し、給与の一部を補う健康保険の制度です。

出産手当金を受給できるのは健康保険の被保険者

出産手当金を受けられるのは、事業所の健康保険の被保険者です。パート・アルバイトであっても社会保険に加入している人は健康保険の被保険者であり、出産手当金の対象となります。一方、健康保険の被保険者の被扶養者と認定されている人は、出産手当金は受けられません。被扶養者とは、親や配偶者に扶養されている人です。また、出産手当金は事業所で加入する健康保険の制度なので、国民健康保険の被保険者は対象外です。

退職者でも対象となる場合がある

出産手当金は出産後も働く人のための制度であり、基本的に退職者や任意継続被保険者には支払われません。しかし、次の条件を満たす場合、退職者(任意継続被保険者を含みます)または退職予定の人でも出産手当金を受け取れます。

1.退職まで継続して1年以上健康保険の被保険者だった
2.資格喪失時(退職日の翌日)に出産手当金を受給しているか、受給資格がある
3.退職日に出勤していない

出産による退職を考えている人は上記の条件に該当するように退職日を設定すると、出産手当金が受け取れます。

出産手当金の対象期間や金額は?

出産手当金の対象期間や金額は?

次に、出産手当金の支給対象となる期間や、受け取れる金額について解説します。

出産手当金の受給できる期間

出産手当金の支給対象は、出産日以前42日(双子など多胎の場合は98日)から出産後56日までの仕事を休んだ期間です。

出産日が予定日とずれた場合は?

予定日どおりに出産とならないケースは、少なくありません。予定日より早く出産した場合は、予定日を出産日と読み替えて出産日前42日と出産後の56日の合計98日が対象期間となります。反対に、予定日より遅れて出産した場合は予定日から実際の出産日までが支給対象に加算されます。そのため、出産手当金を受けられる期間が増えるというわけです。たとえば、予定日より3日遅れの出産となった場合、出産手当金の対象は101日(42日+3日+56日)となります。※いずれの例も単胎の場合です。

出産手当金の金額

出産手当金の1日あたりの支給額の計算式は、以下のとおりです。

1日あたりの支給額=直近12ヶ月間の各月の標準報酬月額の平均額÷30×2/3

標準報酬月額とは社会保険料の計算で、給与などの月額を区分するために設定された金額です。過去1年間の標準報酬月額の1日分の3分の2が、出産手当金の日額となります。

標準報酬月額20万円の人なら

2021年(令和3年)分の報酬月額19万5,000円から21万円の人の標準報酬月額は、20万円です(協会けんぽ・愛媛県の場合)。過去1年間の標準報酬月額20万円の人が、産前産後の合計98日休んだとします。このケースで受けられる出産手当金の支給額は、以下のとおりです。

1日あたりの支給額:20万円÷30×2/3=4,444円(小数点以下四捨五入)

総支給額:4,444円×98日=43万5,512円

産前産後休暇全体で受け取れる出産手当金は、43万5,512円となります。

給与の一部が支払われる場合

出産手当金は、休業中に勤務先から給与の一部が支払われる場合にも支給されます。支給される金額は、給与と出産手当金の差額です。給与が出産手当金を上回る場合、出産手当金は支払われません。

実際の入金は出産して数ヶ月後

産休期間分の出産手当金をまとめて申請する場合、被保険者から勤務先への申請書提出時期は産休期間経過後となります。勤務先が協会けんぽや健康保険組合(保険者)に申請書を提出するのは、申請期間を含む給与の締日を過ぎてからです。給与の締日を過ぎないとその期間の給与の支払い状況の確認ができず、申請書の事業主証明欄に記入できません。

勤務先に書類を提出してから給付されるまで

産休の終了日が4月4日で給料の締日が毎月20日の場合、勤務先が4月20日以降に事業主証明欄を記入して保険者に提出します。つまり出産手当金が実際に受け取れるのは、出産してから数ヶ月経過してからです。出産手当金は産休中の被保険者の収入減少を補うための制度ですが、実際に給付されるのは産休終了後である点に注意しましょう。産休中に収入がなくなることに備え、出産費用のほかに生活費の用意が必要です。

出産手当金の期限は?

出産手当金を申請できるのは、産休開始の翌日以降の2年間です。2年を過ぎると時効にかかり、出産手当金が受け取れなくなります。出産手当金の申請書は早めに準備し、忘れずに提出しましょう。

出産手当金の申請方法は?

出産手当金の申請方法は?

最後に、出産手当金を受けるための手続き方法について解説します。

申請に必要な書類

出産手当金の申請に必要な主な書類は、以下のとおりです。事業主の証明や出勤簿の写しなど、勤務先が準備すべき書類もあります。必要な書類は保険者によって異なるため、詳しくは勤務先の総務などに確認しましょう。

・出産手当金申請書(保険者所定の用紙)
・医師や助産師の証明

申請手続きの流れ

出産手当金の申請書は被保険者が勤務先に提出し、勤務先から保険者に提出されます。申請手続きは、産休期間終了後にまとめて行うのが一般的です。早くお金が必要な場合などは分割でも受け取れますが、書類の提出も複数回となります。一括で受け取る場合の手続きの流れは、以下のとおりです。

1.自分が出産手当金の受給対象かを確認し、勤務先の健康保険担当から出産手当金申請書を受け取る
2.申請書の自分で記入する欄を記入しておく
3.出産後、申請書の「医師・助産師記入欄」を担当した医師または助産師に記入してもらう
4.産休明けに勤務先の健康保険担当に申請書を提出する
5.勤務先が「事業主証明欄」を記入し、申請書を保険者に提出する

まとめ

出産手当金は、産休中に給与が受けられない人の所得を補完する制度です。しかし、実際にお金を受け取れるのは、産休が明けてからとなります。妊娠が判明したら出産にかかわるお金や手続きを確認し、産休中の支出に備える必要があります。出産手当金をスムーズに受け取るため、申請書の準備は早めにしておきましょう。



著者プロフィール

著者 松田 聡子

群馬FP事務所代表、CFP®、証券外務員二種、DCアドバイザー

国内生保に法人コンサルティング営業を経て2007年に独立系FPとして開業。企業型確定拠出年金の講師、個人向け相談全般に従事。現在は法人向けには確定拠出年金の導入コンサル、個人向けにはiDeCoやNISAでの資産運用や確定拠出年金を有効活用したライフプランニング、リタイアメントプランニングを行っている。

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