iyomemo(いよめも)
見つかる、つながる。伊予銀行のWebメディア

所得税の計算方法はどうやる?
知って得する各種控除で節税できる仕組みが丸わかり!

2022/12/06
(提供元:CyberKnot

所得税は、個人の所得に対して課税される税金です。「節税は自営業者がやるもの」というイメージがあるかもしれません。しかし、各種控除を利用することで、会社員でも税負担の軽減が期待できます。今回は、所得税の計算方法や各種控除について解説します。

所得税の計算方法

所得税の計算方法

サラリーマンは給与から所得税が差し引かれ、勤務先で年末調整を受けられます。そのため、所得税の仕組みはよくわからないかもしれません。しかし、会社員が所得税を節税するには、所得税の計算方法を理解しておくことが大切です。

まずは所得税の計算式や税率、控除について確認していきましょう。

所得税の計算式と税率

所得税は、1年間の所得に対して一定の税率をかけて税額を算出します。税金計算の流れは以下のとおりです。

1.収入-給与所得控除=所得金額
2.所得金額-所得控除=課税所得金額
3.課税所得金額×所得税率=所得税額
4.所得税額-税額控除=納める税額

給与所得控除は、サラリーマンの必要経費に相当するものです。所得税の計算時に、給与や賞与から一定額を控除します。所得金額から各種所得控除を差し引いた課税所得金額に税率をかけると、所得税額が算出されます。税額控除がある場合は、所得税額から差し引くことが可能です。

所得税率は、課税所得金額に応じて5~45%の7段階に区分されています。

各種控除で節税できる仕組み

所得税は、所得控除や税額控除を適用することによって節税できます。

所得控除とは

所得控除は、所得税を計算する際に納税者の個人的事情を考慮しようとするものです。所得控除には、課税所得を減額する効果があります。所得税は課税所得に税率をかけて計算するため、所得控除額が大きいほど税負担の軽減が期待できます。

税額控除とは

税額控除は、算出した所得税額から一定額を控除できる仕組みです。所得税の計算では、算出した所得税額から税額控除を差し引くことで、納付する税額が確定します。そのため、税額控除を利用できれば、所得税の節税につながります。

年末調整で受けられる所得控除

年末調整で受けられる所得控除

年末調整は、1年間の所得税の過不足を精算するための手続きです。サラリーマンは、給与や賞与から所得税の概算額が差し引かれています。年末に確定する税額と概算で徴収した税額を比較して、過不足がある場合は従業員に還付または追加徴収を行います。

会社員は、年末調整時に所得控除を受けることが可能です。ここでは、年末調整で受けられる所得控除を紹介します。

基礎控除

基礎控除は、すべての納税者に適用される所得控除です。納税者本人の合計所得金額に応じて、次の金額が控除されます。

納税者本人の合計所得金額 控除額
2,400万円以下 48万円
2,400万円超 2,450万円以下 32万円
2,450万円超 2,500万円以下 16万円
2,500万円超 0円

出典:国税庁「基礎控除

合計所得金額が2,500万円を超えると、控除額は0円となります。

扶養控除

扶養控除は、納税者に扶養親族がいる場合に適用される所得控除です。扶養親族の年齢や同居の有無などに応じて、次の金額が控除されます。

区分 控除額
一般の控除対象扶養親族 38万円
2,400万円超 2,450万円以下 63万円
老人扶養親族(同居以外) 48万円
老人扶養親族(同居) 58万円

出典:国税庁「扶養控除

控除対象扶養親族は16歳以上、特定扶養親族は19歳以上23歳未満、老人扶養親族は70歳以上の人です。年齢はその年の12月31日現在で判断します。

配偶者控除

配偶者控除は、配偶者の年間合計所得金額が48万円以下の場合に適用される所得控除です。控除を受けられるかは、配偶者の給与収入が「年103万円以下」であることが目安となります。

納税者本人の合計所得金額や配偶者の年齢に応じて、次の金額が控除されます。

納税者本人の合計所得金額 控除額(一般の控除対象配偶者) 控除額(老人控除対象配偶者)
900万円以下 38万円 48万円
900万円超 950万円以下 26万円 32万円
950万円超1,000万円以下 13万円 16万円

出典:国税庁「配偶者控除

老人控除対象配偶者は、その年の12月31日現在で70歳以上の人です。納税者自身の合計所得金額が1,000万円を超えてしまうと、配偶者控除は受けられません。

配偶者特別控除

配偶者特別控除は、配偶者控除が適用されない場合に受けられる所得控除です。納税者本人および配偶者の所得金額に応じて、最高38万円の控除を受けられます。納税者本人の合計所得金額が1,000万円超、配偶者の合計所得金額が133万円超の場合は適用対象外です。

配偶者特別控除を受けるには、民法の規定による配偶者であり、生計を一にしていることが要件となります。内縁関係の場合は適用されないので要注意です。

社会保険料控除

社会保険料控除は、健康保険料や厚生年金保険料などを支払った場合に受けられる所得控除です。その年に実際に支払った金額、給与や公的年金から差し引かれた金額の全額が控除されます。生計を一にする配偶者や親族が負担すべき社会保険料を支払った場合は、その金額についても所得控除を受けられます。

小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済等掛金控除は、小規模企業共済法に規定された共済契約に基づく掛金を支払うと受けられる所得控除です。その年に支払った掛金の全額が控除されます。「企業型確定拠出年金(企業型DC)」や「個人型確定拠出年金(iDeCo)」の掛金が該当します。

生命保険料控除

生命保険料控除は、納税者が生命保険料や介護医療保険料、個人年金保険料を支払った場合に適用される所得控除です。保険契約の締結日に応じて、以下の2つに区分されます。

・新契約:2012年(平成24年)1月1日以後に締結した保険契約
・旧契約:2011年(平成23年)12月31日以前に締結した保険契約

新契約に基づく新生命保険料、介護医療保険料、新個人年金保険料の控除額は以下のとおりです。

年間支払保険料 控除額
2万円以下 支払保険料の全額
2万円超 4万円以下 支払保険料×1/2+1万円
4万円超 8万円以下 支払保険料×1/4+2万円
8万円超 一律4万円

出典:国税庁「生命保険料控除

旧契約に基づく旧生命保険料と旧個人年金保険料は、次の金額が控除されます。

年間支払保険料 控除額
2万5,000円以下 支払保険料の全額
2万5,000円超 5万円以下 支払保険料×1/2+1万2,500円
5万円超 10万円以下 支払保険料×1/4+2万5,000円
10万円超 一律5万円

出典:国税庁「生命保険料控除

生命保険料控除の控除額は、新契約と旧契約の合計で最高12万円です。

地震保険料控除

地震保険料控除は、地震保険料や特定の長期損害保険料を支払った場合に受けられる所得控除です。地震保険料は、年間支払保険料に応じて次の金額が控除されます。

年間支払保険料 控除額
5万円以下 支払保険料の全額
5万円超 一律5万円

出典:国税庁「地震保険料控除

旧長期損害保険料の控除額は以下のとおりです。

年間支払保険料 控除額
1万円以下 支払保険料の全額
1万円超 2万円以下 支払保険料×1/2+5,000円円
2万円超 一律1万5,000円

出典:国税庁「地震保険料控除

旧長期損害保険料とは、旧損害保険料控除の廃止に伴う経過措置によるものです。「2006年(平成18年)12月31日までに締結」など、一定の要件を満たす損害保険契約が該当します。地震保険料控除の控除額は、地震保険料と旧長期損害保険料の合計で最高5万円です。

確定申告が必要な所得控除・税額控除

確定申告が必要な所得控除・税額控除

確定申告をすれば、年末調整では適用されない各種控除を受けることが可能です。ここでは、確定申告が必要な所得控除・税額控除を紹介します。

医療費控除

医療費控除は、一定額を超える医療費を支払った場合に受けられる所得控除です。生計を一にする配偶者や親族のために支払った医療費も適用対象となります。

控除額は、1年間に支払った医療費の10万円(または総所得金額の5%)を超える部分の金額です(最高200万円)。保険金などで補填された金額がある場合は、支払った医療費から差し引いて控除額を計算します。

寄附金控除

寄附金控除は、国や地方公共団体、特定の法人などに「特定寄附金」を支出すると受けられる所得控除です。特定寄附金の合計額から2,000円を差し引いた金額が控除されます。ただし、特定寄附金の合計額は「所得金額の40%相当額」が限度です。

雑損控除

雑損控除は、災害や盗難、横領などによって損害を受けた場合に適用される所得控除です。次のうち、いずれか多いほうの金額が控除されます。

・差引損失額-総所得金額×10%
・差引損失額のうち災害関連支出の金額-5万円

差引損失額は、損害金額と災害関連支出の合計から保険金などを差し引いた金額です。災害関連支出には「被害を受けた住宅の取壊し費用」「損害を受けた資産の原状回復費用」などが該当します。

住宅ローン控除(初年度のみ)

住宅ローン控除は、住宅ローンを借りて住宅の新築・取得、リフォームなどをした場合に適用される税額控除です。住宅ローン年末残高の0.7%が、所得税(一部住民税)から最大13年間控除されます。

初年度のみ、登記事項証明書やローン残高証明書などを準備して確定申告をする必要があります。2年目以降は、年末調整で控除を受けることが可能です。

まとめ

所得控除や税額控除を利用することによって、会社員でも所得税の節税効果を得られます。控除を受ける際は、控除証明書などの書類が必要です。年末調整や確定申告で各種控除を受けられるように、余裕をもって必要書類を準備しておきましょう。



著者プロフィール

著者 大西 勝士

AFP、2級FP技能士

会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て、2017年10月より金融ライターとして活動。10年以上の投資経験とFP資格を活かし、複数の金融メディアで執筆中。

合わせてよく読まれている記事

RECOMMENDATION

RANKING

TAG LIST

    • Digital-Human-Digital
    • 地元愛
    • LIFE PALETTE
    • IYOCA