お知らせ

「俳句を詠もう2021 on Web~思いのままに5☆7☆5~」入選句発表および当行YouTube公式チャンネルでのアーカイブ配信について

 2021年10月30日(土)に、夏井いつき先生にご出演いただき、「俳句を詠もう2021 on Web~思いのままに5☆7☆5~」を当行YouTube公式チャンネルにてライブ配信いたしました。
ご応募いただいた俳句の中から、颯萬様の「色無き風よ自由と平等に色」が最優秀句に選ばれました。
ご視聴、ご投句いただいた皆さま、ありがとうございました。
なお、2022年1月14日(金)まで、当行YouTube公式チャンネルにてアーカイブ動画の視聴が可能です。

最優秀句

色無き風よ自由と平等に色を
颯萬

<夏井いつき先生からの講評>
色無き風というのは秋の季語。「色無き風よ」と詠嘆した後に、自由と平等に色をつけていきましょう、と劇中でえがかれた激動の時代へのスローガンのように展開しました。金秋」や「白秋」という季語からわかるように、秋のイメージカラーは金色と白色です。助詞「を」の先に色を付けていきましょう、そしてその色はどんな色をつけましょうかと、呼びかけているのですね。読み手の心もきらきらと広がっていきます。

優秀句

秋さばとひょうりゅう中に見た朝陽
湊草太

<夏井いつき先生からの講評>
劇はジョン万次郎が帰国したあとから始まりました。漂流していた様子は描かれていません。秋さばがいたかもしれない、そして漂流中には朝日を見たかもしれない。観劇を通して漂流中の万次郎なりっきった作者の想像力の素晴らしさです。



レディファーストジョンと腕組む秋うらら
卓球少女

<夏井いつき先生からの講評>
作中である江戸時代は男女が腕を組むことに違和感のある時代。異国文化である「レディファースト」のひとつとして万次郎に腕を組まれ困惑する鉄。鉄の目線になり、鉄という少女の恥じらいや困惑、ちょっと怒ってみる心情が想像されたのでしょう。



冬の鵙理屈とおらぬ闇にあり
マレット

<夏井いつき先生からの講評>
鵙は雀より少し大きい鳥です。季語「冬の鵙」は(食べ物の少なくなる)不安も象徴しているかのよう。作中の万次郎たちがペルリ来航、開国という激動に翻弄されたことや、異国文化の知識を持つ万次郎の葛藤を思わせる措辞は、コロナ禍に生きる私たちにも通じる思いです。



朝凪や妻と七年パンを食う
翔龍

<夏井いつき先生からの講評>
朝の海が凪いでいます。そして7年間過ごした妻と今日もパンを食べておりますよ、という淡々とした句。物語の終盤を題材として作られた作品で、竈を前に大分パンを上手に焼けるようになったね、という場面。万次郎と鉄が出会って7年という時間を、「朝凪」という季語によって表現。穏やかな日常が詠み手の心に広がります。